覇は未だに唱えられず
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構え、気を溜める。
「ミラクル充填!! 元気リンリン意気ヤァッホォーホォーーーーーー!!」
気合充電、元気満点。
神話が今始まる……! とテンションMAXになった瞬間。
「あ。輸送艦の方……正純君の方で女王の盾符が接触したみたいです」
全員が服装を正し、暴れたせいでずれていた椅子や机を直して、速攻で座り、表示枠を開いた。
表示枠に映った人物は三人。
「先の襲撃の時のベン・ジョンソンに……」
もう一人は女性の、しかし人間ではない。
自動人形である。
背後に十字型の操作機によって自らを操っている、正しく人形の
「"2"のF.ウォルシンガムか……」
そして、もう一人の眼鏡の短?が
「"7"のチャールズ・ハワード。英国艦隊の所有者まで来たか……」
豪勢とも言える陣営に思わず驚愕よりも呆れの感情の方が強い。
大袈裟なと思ってしまう感情を否定することが難しい。
何せ、こちらは今まで武蔵という巨大な艦と貿易力を持っただけの暫定支配を受けていた極東の船である。
人材、経験、武装などを含めて明らかにどこよりも劣っている存在だったのだ。
そこに歴史の動きを許可する特務級の襲名者が三名。少し前を思い出せば、このような襲名者相手に接するとすれば多少の交流くらいしかなかったのである。
その事実に、一人笑う男がいた。
正信である。
クク、と押し殺そうとして失敗した声を、しかし無かった事にはせずに微笑を浮かべて表示枠を見る。
睨むのではなく見る。
そこには当然、彼が愛する愛娘がいるはずだ。ならば、娘が今、思っている事を自分は一方的に想像できる。
自分達は武蔵の、そして本多の政治家なのだ。ならば
「楽しいだろう、正純……歴史がお前と対面しているぞ……!」
襲名者と相対するというのはそういう事である。
彼らは力のみで襲名の権利を得るのではない。その力と意思を研ぎ澄ました人間こそが襲名者になるのである。
力を持っているだけでは三流。
意思だけでは二流。
二つを持ってこそ一流である。
その一流の人間に課せられた者こそが襲名者という存在なのだ。
なぁ、正純。
「ぞくぞくするだろ……? 歴史を相手にするという事は。政治家である私達の言葉で歴史、いや世界を動かせるのだから」
だから
「楽しめ、正純。恐れるものはないだろう? 何もかもを笑う不可能の王の支持を受け、疾走する刃がお前達の先導をしてくれる。王道を共に歩むのが武蔵のやり方だ」
ハッ、と心底愉快気に笑い、この瞬間さえも愉快の延長上だと思うと今までの人生がちょっと詰まらなくなってしまうのがまた面白い。
ハッ、ともう一度笑おうと思い───次の瞬間を見て呼吸が止まる。
原因は表示枠の中にある。
女王
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