プロローグ
[1/3]
[1]次 最後 [2]次話
真っ青な大空に、ぽっかりと浮かぶ黒銀の巨城。名は浮遊城《アインクラッド》。
酔狂な職人プレイヤーの集団が数カ月かけて測定したところ、なんと基部フロアの直径は世田谷区を丸ごと飲み込むほどあったという。
城内には森林や岩場、湖までもが存在し、プレイヤー達は様々なスキルを駆使して生活している。
全百層からなる巨大は浮遊城は、数千に昇るプレイヤーたちを飲み込んで浮かびつづけてきた。
長きにわたってゆっくりと攻略されてきた浮遊城。現在の最前線は七十四層。
この世界のまたの名は―――――《ソードアート・オンライン》。
*+*+*+*+*
空まで高く伸びる塔。
アインクラッド七十三層、主街区、雲上都市《ホーリーメイト》より東へ三十分ほど歩いたところにある、この層にいくつも存在する塔型ダンジョンの一つだ。
出現するモンスターは飛行する者からしない物まで、人型、非人型問わずに多種多様。攻撃の方法もまた、遠隔から近接、間接に至るまでで、武器も多種多様。麻痺毒などの状態以上を駆使してくるモンスターもいる。この層のダンジョンの多くはたった一人で攻略するのにはあまりにも危険すぎだ。
そんなダンジョンを、たった一人で歩く影が一つ。
黒銀色の長めの髪の毛を垂らした男性プレイヤーだ。その背中にも腰にも、一切の武器は身につけられていない。
確かにSAOには武器を必要としない戦い方も存在する。主に《体術》やその派生スキル《アクロバット》《曲芸》などのスキルがそれだ。
しかしそれらはあくまでも補助用の戦闘スキルなわけであり、それらをメインに据えて戦うプレイヤーは相当の物好きにすぎない。そんなプレイヤーの多くがこの様な最前線近くの階層に来るわけもない。
しかしそのプレイヤーからは一切の気負いも感じられなかった。堂々とした足取りで、輝きに満ち溢れた回廊を歩いていく。
しばらくすると、回廊が途切れ、急に開けた場所が現れた。中央には、さもとって下さいとばかりに豪奢な剣が置かれている。
プレイヤーはそれを手に取るべく、広間に足を踏み入れた。
――――その時。
ビィ―――!ビィ―――!ビィ―――!と、騒音が部屋中に響き渡った。そして、どこからともなく異形達が湧出し始める。その数、ゆうに百を超えるだろうか。
ダンジョン内で出会うトラップでは最悪と言われるトラップ……《アラームトラップ》による《モンスター・ハウス》の出現だ。
丸腰のプレイヤーにとってこれほどまでの危機はないはずだ。しかし、男は全く臆する様子もなく、ただ一言
「……来たか」
と呟いただけだった。
モンスターの一体、ガーゴイルと呼ばれる蝙
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ