プロローグ
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上の生物、《グリフォン》。宝を集め、たからを守るとされる守護獣だ。
纏う雰囲気から察して、この異形の守護獣こそが、この塔を守る《ネームドモンスター》……俗にいう《ボスモンスター》というやつだ。
「ボスモンスターのお出ましか。いいだろう」
男は今や二百を超えた白銀の刀剣たちを自らの周りにまとわせた。そして呟く。
「《等価交換》」
二百超の刀剣達が、一斉に融解する。それらは一つに練り上げられ、凝縮されていく。生成が終わった時、そこにあったのは、一本の美麗な長剣だった。
白銀の刀身は今までの剣となんら変わるところはない。しかし、その剣に施された豪奢な彫刻は今まで無尽蔵に作られてきた剣たちとは明らかに一線を画す壮麗さだ。
男は長剣の柄を両手で握ると、腰だめに構え――――一気に突進した。同時に、グリフォンも前足を高々と掲げて、弾丸のように突進してくる。両者は広間の中央で激突し、突風が吹き荒れ、閃光が炸裂した。
果たして――――――立っていたのは、男の方だった。真っ二つに引き裂かれたグリフォンは地面に崩れ落ちると、無数のポリゴン片へと爆散し、消滅した。同時に、白銀の長剣も、白い光となって男の手から消失する。
フロアには、男と、部屋に安置されていた美麗な長剣が残るのみだった。おそらく先ほどのグリフォンは、この長剣を守るために設置されたモンスターだったのだろう。
「レベル九十クラスの剣か……?こんな辺鄙なダンジョンにあるにしては珍しい代物だな……。いいだろう、もらってやる」
男は長剣に手を伸ばすと、一思いにそれを引き抜いた。思いのほか重量のあるそれを持ちあげると、タップしてウィンドウを呼び出す。優先度は『レベル96』。最前線で戦っている攻略組が保持する、最強クラスの装備に匹敵するアイテムだ。銘は《Boundary sword empty》――――《空の境界の剣》。
「なるほど、なかなかいいじゃないか」
男はそれを構えると、呟いた。
「《等価交換:魔法鉱石》」
瞬時に流麗な長剣は、こぶし大のサイズの、透き通るような青い宝石へと変貌した。男はストレージにそれを収納すると、フロアを見渡す。ほかには何もない。
ならばもう、ここにいる必要はない。
「……帰るか」
男は、入ってきた回廊とは反対側に位置する、フロアの外に続く回廊に向かって足を進めた。
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