プロローグ
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蝠型のそれが飛び掛かってくる。右手には歪な形の蛮刀を握っている。ガーゴイル系統モンスター、《ガーゴイル・ウォーリアー》だ。その蛮刀の刀身が鈍く光り輝き、攻撃のスピードが格段に変化する。
《ソードスキル》……。この世界をこの世界たらしめている秘技。無限に近い数設定されたそれは、いわば必殺技とでもいうべき存在だった。
ガーゴイルの戦士の斬撃……曲刀系ソードスキル《リーバー》が、プレイヤーに迫り………
カキン、という小さな音と共に、静止した。
「!?」
ガーゴイルが驚く。本来単純なアルゴリズムでしか動かないモンスターも、時折このような感情を見せることがあった。
「もらうぞ」
男はガーゴイルに向かって、剣を抑えていない左の拳を振りぬく。その拳はガーゴイルの人によく似た顔面にめり込み、その肉体を吹き飛ばす。
そして男の右手には、先ほどの蛮刀だけが握られていた。
「ふむ……優先度はレベル六十クラスか……多くてレベル三十片手剣四つだな……」
湧出したモンスターたちを見回すと、
「よかろう。―――――《等価交換》」
直後。男に右手に握られた蛮刀が融解した。融解した蛮刀は形を変え、四本の白銀の片手用直剣に姿を変える。
本来ならば有り得ない光景だ。ソードアート・オンラインの順当なスキルに、このようなスキルは存在していなかった。
ブン、と男が手をふるうと、四本の片手剣は周囲にいたバードマンの腕を切り払い、それぞれの持っていた武器――――槍だった――――を腕ごと地面に落下させた。
すぐさま地面を蹴ってそれらを回収した男は、先ほどと同じ言葉を唱える。
すると、四本の槍が融解し、新たに六本の白銀の片手剣が作成される。そして男の号令と共にそれらもまた飛翔し、先ほどの四本と共にモンスターの腕を、そこに握られていた武器を切り落とし、男がまたそれを別の武器へと変換する。
それをただただ繰り返す。その度に作成される武器は数を増し、武器を持つ腕を切り取るだけでなく、モンスターたちの肉体をも切り刻み始めた。
銀の燐光がきらめく。切り裂かれた異形達のポリゴン片が舞う。フロアはいつの間にか、氷の結晶の様な輝きで覆われていた。
いつの間にか、フロアを埋め尽くしていた異形達は跡形もなく消え去っていた。出現から消滅まで、わずか二十分足らず。ちりちりと頭上から銀色の輝きが降り注いでくる。
百に上る異形達が駆逐され終った時、そこに残っていたモンスターは一体。しかしそのモンスターは、他のモンスターとは外見も、纏う雰囲気も異なっていた。
四枚の翼をもった獣。胴体は獅子、顔は鷲……伝説
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