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ローエングリン
4部分:第一幕その四
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第一幕その四

「卿は本当に訴えるのだな」
「はい」
 彼は傲然と胸を張って王の問いに答えた。その横にはオルトルートもいる。彼女は静かに、だが不気味に彼の横にいた。
「夢の様な、いえ夢の話ではありませんか」
 彼はエルザの今の言葉をこう言って切り捨てた。
「姫に罪があるのは私にとっては確証されていますが皆様の御疑念をそういった証拠によって晴らすのも私の誇りが汚れるもの」
「しかし」
「公女はどうも嘘は」
「それではです」
 疑念の声には不敵な笑みで返してみせた。
「私がここにいて私の剣もあります」
 持っているその剣である。しかと両手で抱くようにして持っている。
「このかつてデンマークのあの敵将を倒したこの剣が」
「あの敵将を倒したことをか」
「それは」
 皆それを聞いて怖気付く。テルラムントの武勇はブラバントはおろかドイツに知られたものなのだ。デンマークとの戦いにおいて敵の猛将を激しい一騎打ちの末に倒しもしているのだ。皆このことをよく知っているのである。これははっきりとした圧力であった。
「それはそうだが」
「ううむ」
「陛下」
 テルラムントは皆に圧力をかけたうえで王に対しても問うのであった。
「私のこの名誉を疑われるのでしょうか」
「いや」
 無論王もそうしたつもりはなかった。首を横に振って答える。
「それはない」
「有り難き御言葉」
「それではだ」
 ここで王は一つの決断を下した。
「神だ」
「神!?」
「神ですか」
「そうだ。神だけがこの裁きの判決を下されよう」
 エルザの話を受けての言葉である。
「それでよいな」
「はっ」
「陛下の御言葉のままに」
 ザクセンやチューリンゲンの者達もブラバントの者達も王の今の言葉には賛同した。王は玉座から立つと剣を抜きそれを大地に刺した。十字になったその剣を前にしてまたテルラムントに対して問うのであった。
「それでよいな」
「はい」 
 テルラムントもまた王の言葉に対して頷いて答えた。
「この剣に誓って」
「うむ。では公女よ」
 今度はエルザに対してであった。
「その騎士を信じるな」
「無論です」
 彼女に異論がある筈はなかった。こくりと頷いてみせての言葉であった。
「私もまた」
「よし。それではだ」
 王はまたエルザに問うてきた。
「その騎士の名は」
「それはわかりません」
「わからないというのか」
「はい。ですが私は信じています」
 厳かな言葉であった。
「その方がここに来られることを。そして誓いましょう」
「何をだ?」
「その方にこのブラバントを治めて頂くことを」
 つまりその騎士にブラバント公になってもらうということだった。
「私を妻と呼んで頂けるのなら喜んで全てを捧げます」
「何と
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