第四話
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ればデメリットしかないような気がするんだけど。百人以上のメイドさんに払うお金は――あるけど、メイドさんは入り用じゃないしなぁ。
老人はくわっと目を見開いた。
「メリット? そんなの一目瞭然ではないか! こんな美人のメイドにご主人様と呼ばれかしずかれるのだぞ? これほど男児にとって魅力的な話はないだろう!」
「……」
もうなにも突っ込まない、突っ込まないぞ。
老人は嬉々とした表情で言葉を続けた。
「幸い彼女たちと君の歳は近い。良き侍女として終生仕えてくれるだろう。メイドたちの新たな主になってくれたまえ」
これはいかにも裏がありそうな話だ。どこぞの馬とも知れない男――それもただの高校生にメイドを託そうというのだから。
この島の環境を見れば金銭的に余裕があるのは想像するに難くない。となれば、金が絡んだ話ではないだろう。
では、なにか利権的な問題かと言えばそれも否。実情はともかく表はただの高校生で通している。そんな俺が抱えている権利なぞなにもない。
思考が高速回転し考えられる限りの解答を浮かべては消去する。どれもありえそうでいて、しかし現実味のない話だ。
――俺の本質を知ったか?
いや、それはありえない。俺の本質を知っているのは高城家の人たちだけのはずだ。まだ誰にも見られてもいないから露見された疑いもない。
マスクのレンズ越しに老人の目を見る。
――なんて澄んだ瞳をしてるんだ……。まるで語ったことに絶対の信頼を寄せているかのようじゃないか。
老人の目を見る限り、彼が嘘偽りを述べた語った感じはしない。となると、本気で俺を主にふさわしいと思ってのことなのか……?
「どうかね?」
「……正直、まったく心が動かされなかったかと言えば嘘になる」
「おお! では――」
「だけど」
喜び勇む老人に待ったを掛け、言葉を続けた。
「すぐに頷けない話なのも事実。その誓約日というのはいつなんですか?」
「二日後だ」
紅茶で喉を潤していた俺は思わず茶色い液体を吹いた。
「二日!? 明後日ってもうすぐじゃん!」
「情報漏洩を最小にするため今日までひた隠しにしてきた。この誓約だけはなんとしても遂行せねばならん」
老人が断言するとリーラたちも頷いた。
「では、さっそく誓いの準備に入ろう。すべてのメイドたちを集め、新たな主人のことを伝えておくのだ。式森君は身を清め、誓約の言葉を考えておきたまえ。そうすれば、晴れて君もご主人様だ」
とんでもないことをすでに決定事項のように告げる老人。頭を抱えた
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