第四話
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終止符が打たれるかと悲観しておった。だがつい数日前、日本支部から興味深い調査書が届けられたのだ」
「おいおい、まさか……」
嫌な予感が確信へと変わる。頬が自然と引き攣った。
「日本の東京にある高校に通う男子生徒についてだった。この調査書によると、数人の女に囲まれた生活を送っているとのことだ。女好きの快楽主義者かと思えばこの女たちと関わってからはロクな目に遭っておらず、場合によっては命の危険にまでもさらされている。それでいながら社会生活を全うしているというではないか。この人物こそが、儂が探し求めていた後継者だと思った。そして、こうして対面してその思いは確信に変わった」
「それって、もしかしなくても――」
「そう、式森一樹君。君のことだ」
気が遠くなる思いだった。
MMMっていうわけのわからん組織の後継者? このメイドを引き取る? 若い身空でご主人様かよ……。
ちょっとだけいいかもと思ったのは高校生男児として間違っていない、と思う。まあこの場合話は違ってくるが。
「いやいやいや……ちょっと待って、待ってくれ。確かにあなたの言うことには心当たりがあるし、俺でも社会生活は送れていると思う。だけど、その確信に変わったっていうのはなんだ? なにを以て確信に変わったんだ? ただのガスマスクをつけた高校生だぞ俺は」
頭を振った俺は率直な疑問を述べた。
この老人は――MMMとやらは多少なりとも俺のことを調べてあるのだろう。しかし、そんな紙面化された情報からいったい何を探れるというのだろうか。
ただのガスマスクをつけた変人高校生にいったい何を見出したというのだろうか。
「うむ、君の疑問はもっともだ。しかし、数多の人間を見てきたこの儂を見くびってもらっては困る。これでも人を見る目はあるつもりだ。確かにマスクをつけてはいるが、それには何らかの理由があるのだと思うし、なによりその身に纏うオーラ。それだけでも君が一介の高校生ではないと雄弁に物語っているのだよ」
老人の言葉に室内にいるメイドたちが一斉に頷いた。えー、俺ってそんなオーラ出てますか?
「メイドの主になるにはその人格はさることながら、何事にも動じない胆力と、どんな困難にも立ち向かっていく強靭な意志が求められる。こうして会話しているだけでもその飄々とした言葉の端から常に思考を働かせているのが窺える。その冷静な判断力と言葉の裏を読み取ろうとする姿勢もメイドの主に求められる資質だ。君は十分にこれらの条件に合致している」
「いやぁ、たまたまじゃないですかねぇ。というか、その主とやらになることで俺にどんなメリットがあるんです?」
寧ろ人見知りの俺からす
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