第四話
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在する」
言葉もないとはまさにこのことか。
なんとも言い知れない脱力感が全身を支配し、いっそこのままテーブルに突っ伏したい思いに駆られた。
「水銀旅団は国際コスチューム会議に出席せず他との連絡を絶っている唯一の組織だ。彼らは歪んだ民族思想を抱いており、パジャマ以外のコスチュームを一切認めないと公言している。彼らは『メイドに死を! すべてのメイドに神罰をっ!』のスローガンを元に、六十年ほど前、捉えたメイドの耳に水銀を流し込むという拷問をかけた。これが水銀旅団の由来なのだよ」
「水銀を耳に……」
「まさに悪魔の所業だ。わかるかね、奴らを宿敵と呼ぶ理由が。彼の者たちを駆逐しない限りメイドたちに安寧が訪れないのだ」
「なるほど」
話半分で聞くわけには――いかないんだろうなぁ。遠い星での出来事のように思えるよ。
もはや相槌を打つことしかできなかった。
「それで、ここ数日交戦している相手はその水銀旅団?」
「うむ。リーラからの報告によると墜落した君を捜索する際に彼奴らの先遣隊と交戦したようだ」
「ああ、あの……」
ようらく状況が呑み込めてきた。あの時にリーラと銃器を所持していた女の子と遭遇したのはそういった理由だったのか。
となると、リーラが追っていたあの二人が水銀旅団かな?
「機密事項がどこからか漏れたらしい。この先、奴らの攻撃は一層激しさを増すだろう」
「どこも情報漏洩の予防はなかなか難しい課題ですねぇ」
なにかと電子化されている昨今、オンライン上の情報は漏洩される危険性がある。そのため、俺は仕事で扱うデータはすべて紙面化した上で消去している。
水銀旅団とやらがそのデータを掴んだことで攻撃を強めるということは、余程彼らにとって不都合な情報が載っていたのだろう。
「奴らは、もうすぐこの島で誓約日が訪れることを知ったのだ」
「――って、いいんですか? 俺に喋って」
「構わん。むしろ、君には知ってもらわねば困る」
「はぁ」
また意味深な……。なにを考えてるのやら。
「メイドたちは一年に一回、誓約によって主人に忠誠を誓うことになっている。一般社会における年次契約のようなものだが、MMMでは古来より行われてきた伝統儀式なのだ。その儀式が近々、この島で行われる」
「ふむふむ」
「本来なら当然儂と誓約を交わすのだが、見ての通り儂も年だ。そのためこのメイドたちを託せる後継者を常々探していたのだ」
「ほうほう」
なんだか嫌な予感がしてきたぞ?
「しかし、適任者がおらずこの島でのメイド歴史に
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