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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第十九話 記念写真
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ルレーン』演奏はサーニャ・V・リドビャグ。唄はわたくしミーナ・ディートリンデ・ヴィルケです」

 そう言ってミーナが一礼すると、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
 自らの髪の色と同じ、真紅のドレスの裾を翻してマイクを取ると、ミーナはサーニャに目で合図を送る。
 そして――


「……兵舎の大きな門の前、街灯が立っていた。今もまだあるのなら、また会おう、並んで。そこに立とう、愛しのリリー・マルレーン――」


 『リリー・マルレーン』欧州のウィッチでこの曲を知らない者はいないだろう。
 カールスタントはもとより、ブリタニア、ロマーニャなど、欧州各国で愛される唄だ。
 流れるようなピアノの音に乗って響くミーナの唄声は、瞬く間に皆の心を奪い去った。

(ミーナ中佐……すごく綺麗……)

 生まれて初めて、真に美しいものを見た。和音はそんな気がした。
 この歌声の前には、セイレーンの誘惑でさえ霞むだろうというほどに、ミーナの唄声は美しかった。優しい電流のようなものが背中を駆け抜け、もう目を離すことすらできはしない。

「二つの影は一つに。愛し合う二人の姿。誰にでもわかる、皆に見てほしい、並ぶ姿を――」

 燃えるような夕焼けに照らされて、遠く地平線の彼方まで響くような歌声が、和音の意識を一瞬で埋め尽くす。遂に唄が終わり、サーニャとミーナが揃って礼をして檀上を辞した後も、和音はまだ夢のような気分から覚めないでいた。

(すごい!! すごいですよミーナ中佐!!)

割れんばかりの歓声と拍手の中、知らず頬を伝い落ちた涙に気がつくこともなく、いつしか和音も観衆に混じって精一杯手を打ち鳴らしていた。






「はぁ、あんなに大勢の前で唄ったのなんて何時以来かしら……」
「はっはっは!! おまけにレコードの依頼まで来てしまったな、ミーナ」
「確かに歌手を目指していたことはあったけれど……もう、わたしはウィッチなのよ?」

 すべてが終わったのは、ロマーニャの空を満天の星々が覆い尽くす頃だった。
 会場が撤去されてもまだ興奮の熱気は冷めず、あちこちのパブから威勢のいい声が聞こえてくる。この分だと明日の朝刊の一面は間違いなく501が飾るだろう。

「街の人たちを元気づけるつもりが、我々が元気づけられてしまったな」
「お菓子もいっぱい貰えたしね〜ロマーニャってほんといい国だよ、トゥルーデ」

 ネウロイの監視と防空を近隣部隊が肩代わりしてくれたおかげで、和音たちはイベントが終わったあともゆっくりすることができた。ルッキーニの案内した小さな料理屋に腰を落ち着け、店主の振る舞ってくれた晩御飯に舌鼓を打っているところである。

「サーニャのピアノ、とっても綺麗だったゾ!!」
「ありがとう、エイラ。
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