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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第十九話 記念写真
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大層不満そうであったが、あれ以上追い打ちをかけるとあの青年がネウロイ化しかねないほどのダメージになるだろう。

(ああ、可哀想に……)

 一人の青年の心がダークサイドへと転落したのを見届けて、和音はそっとその場をあとにした。






「――大変長らくお待たせしました。本日のメインイベント、501統合戦闘航空団メンバーによるコンサートを開演したいと思います」

 お祭り騒ぎは午後も続き、アドリア海の向こうに夕陽が沈む頃。茜色に染まった広場の中央から、ひときわ大きな歓声と拍手が巻き起こった。本日の目玉、サーニャとミーナによるコンサートだ。

「ようやくはじまったか……!!」

 歩き疲れて歩道の花壇に腰掛けていた和音は、いまだ熱気の冷めやらぬ広場の中央に向けて歩き出した。
コンサートとはいっても、実質的には路上ライブだ。広場の噴水をバックに設えられた急造の簡素なステージにマイクがセットされている。満足な音響設備もないから、ピアノの音だって散ってしまうかもしれない。
 しかし、壇上のサーニャもミーナも一向に気に留めた様子はなく、この日のために新調したドレス姿で歓声を上げる観衆に手を振っていた。

「和音ちゃん!!」
「あ、宮藤さん」

 さすがに美人だなぁなどと考えていると、割烹着姿の宮藤が走って来た。屋台を手伝っていたリーネとペリーヌも一緒である。花柄のエプロン姿という滅多にお目にかかれないペリーヌの格好に笑いかけ、あわてて表情を引き締める。

「もうじきサーニャさんの演奏が始まりますわ」
「坂本少佐が席を取っておいてくれたんだって。一緒に行こう?」
「サーニャちゃんのドレス、すっごく綺麗だよ!!」

 なるほど、どうやら自分を探しに来てくれたらしい。

「わかりました。じゃあ、ご厚意に甘えて特等席で聴きましょうか」

 宮藤に手を引かれてきたそこは、なんの事はない。ステージに一番近い場所に、果物の空き箱を並べただけのものだった。簡素を通り越していっそ幼稚なほどだが、しかし誰一人としてそれを嗤うものはいなかった。

「おっそいぞ〜宮藤。ミーナの唄が始まっちゃうじゃん」
「そう言うなハルトマン。これで全員揃ったようだな」
「オイ、サーニャのピアノは無視なのカ?」

 すでに「特等席」には檀上の二人を除く全員が集まっていた。それぞれ空き箱の上の腰かけ、演奏の開始を今か今かと待っている。

「――本日はようこそお集まりくださいました。皆様の協力によって実現した本日の催し、感謝の念に堪えません」

 マイクを取ったミーナが語りだすと、会場は水を打ったように静まり返る。

「501統合戦闘航空団からのささやかな返礼として、ピアノと唄をお贈りしたいと思います。曲目は『リリー・マ
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