暁 〜小説投稿サイト〜
星の輝き
第11局
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りだった。
葉瀬中に行っても、今回は囲碁部に入るつもりはなかったのだ。
今はあかりがいるとはいえ、佐為との囲碁の時間をこれ以上減らすつもりはなかったからだ。
 
 筒井先輩や三谷には悪いが、あくまで佐為との時間を最優先するつもりだった。
そうなると、創立祭で筒井先輩や加賀に会ってしまうと話がややこしくなる。
行かないのが一番だろうと考えていた。
 
 さらに、今は海王中への進学の可能性も出てきた。
それが実現すると、ますます葉瀬中メンバーとの接点はなくなるのだ。
 
 だが、それでいいのだろうか。
 
 葉瀬中囲碁部は、間違いなく、大切な場所だった。
オレにとっても、そしてあかりにとっても。
いや、むしろ、あかりのあかりにとって大切な場所なのではないか。

 オレは以前、院生になった際に囲碁部はやめた。
囲碁部のみんなには悪いことをしたと、今でも気まずい思い出の一つだ。
特にオレが引っ張り込んだ三谷。
あいつがあれだけ怒ったのも、無理はないことだった。
結果だけを見れば、オレは囲碁部を引っ掻き回しただけともいえる。

 時々もどりたい、と思う場所ではあったが…。

 
 そんなオレに対して、あかりは違った。
三年間ずっと囲碁部でがんばっていた。
囲碁のルールさえ知らなかったのに、頑張ってルールを覚えて。
自分や三谷が囲碁部を辞めた後も、囲碁部を盛り上げて、女子の大会にも出場した。
 
 間違いなく、オレが抜けた囲碁部をリードしていたのはあかりだ。
 
 そして、囲碁部のメンバーにとってもだ。
俺やあかりの存在は、囲碁部のメンバーにとってもそれなりの影響を与えていたはずだ。
特に三谷は、オレが連れ込まなければ囲碁部には入ってなかっただろう。
 
 それなのに、今回はほかに大事なことがあるから何も関係ありません、で済ませていいのだろうか。

 もちろん今のあいつらは、そんなことは何も知らないにしてもだ。

 
 考え込んでいるヒカルに佐為が声をかけた。
―ヒカル、考えても答えは出てこないと思いますよ。結局正解は分からないのですから。
「佐為…。」
―動いてみましょう、今は。そこに”ちけっと”があるのです。行って見ましょう。行ってみて、いろんな人に会って見ましょう。ただ考え込むよりいいと思いますよ。

「ね、ヒカル、私ね、勉強の時間増やしてるの。ヒカルが海王中に行くって決めたときに、私もついていけるように。いけるかどうか不安はあるけど、私がんばってみる。だから、ヒカルは好きに決めていいよ。」
「あかり…。でも、それってあかりの人生が大きく変わっちゃうってことなんだぞ?オレの影響で。それでいいのか?」
「ヒカル、私にとっては、前の私はヒカルから聞いた”お話”でしかないの
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