第11局
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
りだった。
葉瀬中に行っても、今回は囲碁部に入るつもりはなかったのだ。
今はあかりがいるとはいえ、佐為との囲碁の時間をこれ以上減らすつもりはなかったからだ。
筒井先輩や三谷には悪いが、あくまで佐為との時間を最優先するつもりだった。
そうなると、創立祭で筒井先輩や加賀に会ってしまうと話がややこしくなる。
行かないのが一番だろうと考えていた。
さらに、今は海王中への進学の可能性も出てきた。
それが実現すると、ますます葉瀬中メンバーとの接点はなくなるのだ。
だが、それでいいのだろうか。
葉瀬中囲碁部は、間違いなく、大切な場所だった。
オレにとっても、そしてあかりにとっても。
いや、むしろ、あかりのあかりにとって大切な場所なのではないか。
オレは以前、院生になった際に囲碁部はやめた。
囲碁部のみんなには悪いことをしたと、今でも気まずい思い出の一つだ。
特にオレが引っ張り込んだ三谷。
あいつがあれだけ怒ったのも、無理はないことだった。
結果だけを見れば、オレは囲碁部を引っ掻き回しただけともいえる。
時々もどりたい、と思う場所ではあったが…。
そんなオレに対して、あかりは違った。
三年間ずっと囲碁部でがんばっていた。
囲碁のルールさえ知らなかったのに、頑張ってルールを覚えて。
自分や三谷が囲碁部を辞めた後も、囲碁部を盛り上げて、女子の大会にも出場した。
間違いなく、オレが抜けた囲碁部をリードしていたのはあかりだ。
そして、囲碁部のメンバーにとってもだ。
俺やあかりの存在は、囲碁部のメンバーにとってもそれなりの影響を与えていたはずだ。
特に三谷は、オレが連れ込まなければ囲碁部には入ってなかっただろう。
それなのに、今回はほかに大事なことがあるから何も関係ありません、で済ませていいのだろうか。
もちろん今のあいつらは、そんなことは何も知らないにしてもだ。
考え込んでいるヒカルに佐為が声をかけた。
―ヒカル、考えても答えは出てこないと思いますよ。結局正解は分からないのですから。
「佐為…。」
―動いてみましょう、今は。そこに”ちけっと”があるのです。行って見ましょう。行ってみて、いろんな人に会って見ましょう。ただ考え込むよりいいと思いますよ。
「ね、ヒカル、私ね、勉強の時間増やしてるの。ヒカルが海王中に行くって決めたときに、私もついていけるように。いけるかどうか不安はあるけど、私がんばってみる。だから、ヒカルは好きに決めていいよ。」
「あかり…。でも、それってあかりの人生が大きく変わっちゃうってことなんだぞ?オレの影響で。それでいいのか?」
「ヒカル、私にとっては、前の私はヒカルから聞いた”お話”でしかないの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ