第三十七話 夏祭りその一
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第三十七話 夏祭り
琴乃は景子の家に来た、するとだった。
もう四人共それぞれの浴衣を着ていたのだった。
里香は青、景子は赤、美優は緑、そして彩夏は桃色だ。それぞれの柄で飾られ実に綺麗な浴衣だった。
その浴衣を見てだ、琴乃はこう言った。
「ううん、皆綺麗ね」
「顔じゃないよな、それは」
「まあそっちはね」
顔の話についてはだ、琴乃は少し苦笑いになって言った。
「可愛いけれどね、皆ね」
「そこで綺麗って言わないんだな」
「何かそんな感じに見えないけれど」
「いつもかい?」
「今はね」
そうだとだ、琴乃は緑で柳と月の柄の浴衣の美優に答えた。
「あまりそう見えないけれど」
「あたし今日そういうメイクにしたんだけれどな」
「そうなの?」
「けれど違うんだな」
「美優ちゃんも皆もね」
本当に四人共だというのだ。
「可愛い感じよ」
「そうなんだな」
「うん、何かね」
「まあ可愛くてもいいけれどな」
少なくとも悪い気はしなかった、やはり可愛いと言われて嬉しくない女の子はいないのだ。それは美優にしてもだ。
それでだ、こうも言う彼女だった。
「じゃあ可愛いの五人で行くか」
「可愛いって私も?」
「ああ、そうだよ」
自分自身をその右手の人差し指で指差して問うた琴乃に答える。
「琴乃ちゃんだよ」
「私可愛いのね」
「可愛いだろ、琴乃ちゃんもな」
「あまりそう言われたことないけれど」
「言わない奴は言わないんだよ」
もっと言えばブスと言う意地の悪い小僧もいる、そうした者は何時でもいるものだ。
「そういう奴は置いておいてな」
「それでよね」
「ああ、今から行こうな」
美優はにこりと笑って琴乃にこうも言った。
「夏祭りにな」
「もうすぐはじまるわよ」
景子も四人に言う。
「それじゃあね」
「うん、八条神社までね」
里香がにこりと笑って景子に応えた。
「皆で行こうね」
「お酒もあるし」
彩夏は今からそれを楽しみにしていた。
「色々買って食べてね」
「焼きそば食べよう、最初はね」
琴乃はこれを出した、五人はまだ景子の部屋にいる、そこで座って話をしているのだ。
「それからよね」
「最初はお好み焼きだろ、大阪のな」
美優が出すのはこれだった。
「それとお酒でな」
「ビールじゃないの?」
「だって、あの神社日本酒だろ」
それが無料で出るからだというのだ。
「だったらお酒はな」
「日本酒なのね」
「確かにお好み焼きとビールって最高の組み合わせだけれどな」
黄金と言っていい、その組み合わせは。
「けれどビールは売ってて日本酒は無料だぜ」
「だったらっていうのね」
「ああ、ここは日本酒だよ」
それの一択だ
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