十三日目 十二月三日(土) 後編
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おぬしに他の生きる事が出来たとしたらだ。それでもぬしは、王として生きるのかえ?」
(……解らない。今は、もう解らなくなってしまった)
「ならばのう。一度、ただの人として生きてみてはどうかえ? 悲嘆し、憤怒し、憎悪する人として、生きてみるのもまた悪くないぞえ。うくくっ、せっかく永久にも等しい時があるのじゃ。変化を試さねばの」
(……不要だ。今の在り方そのものが、私にとって贖罪だ。贖いきれぬ罪を背負った私が、楽になれる道など、選べる道理がない)
「うくくっ、その逆じゃよ。更なる苦しみを求めるが故によの。堕ちる事は、お主にとって何よりも芳しい痛みになるじゃろう。さぁ、受け入れい、アーサー」
(……ああ、黒い無数の手が、私に絡みつく。私は……、きっと、振り解け、ない)
「さぁさ、次なる宴を楽しもうぞ。わらわの願望の為に、存分に踊ってたもれ、我が妹よ。救いの王たるお主が、この世に真なる狂気を呼び覚ますのじゃ。うくくっ、安心せい、お主の苦しみ、無駄にはならぬ。闇に眠りし真の創造主が、最高の祝福を下さるであろうさ」
(……ワレヲ邪魔スルモノ、滅ス。聖杯、邪魔スルモノ、滅ス。滅滅滅滅滅滅滅滅滅)
輝日東湾の上で繰り広げられている、狂戦士と三人のサーヴァントの死闘は、いよいよ最終局面を迎えていた。
真紅のバーサーカーが、炎に包まれた長剣を高々と掲げる。
「見せてやれ、お前の最強宝具をっ」
勝利を確信するかのように、黒マントのウェイバーが傲慢な笑みを浮かべた。
「……まさか、凶化してなお、使えるのか伝説の聖剣をっ」
ランサーが驚愕する。
「聖剣っ!?」
セイバーとキャスターも緊張を顔に漲らせ、身構える。
「距離が有り過ぎるっ。止められんっ」
「アァァァァ、エクゥゥゥゥゥス……」
紅蓮の長剣から、灼熱の燃え盛る輝きが天へと迸った。膨大な輝きは、赤い魔天楼のごとくそびえ立つ。バーサーカーが、己の持つ狂気そのものの究極兵器を解き放つ。
「カリバァァァァァァァ」
赤い魔天楼が、禍々しく明滅しながら高速で落ちて来る。それは古代に地上の獣全てを焼き払った巨大隕石のごとく、逃れ得ぬ破滅の化身として海上の三人に襲いかかる。
「ちっくしょう。なんだよあれっ! あんなんくらったら一瞬で消し炭じゃねえかっ。陣地なめんなよっ」
憤るキャスターが三叉槍を振りかざし、厚い水の壁を幾重も展開する。
「俺の魔力を持った水、目いっぱい集めてぶつけてやるよっ」
水の壁、いや今や水で出来た大隕石が、滅びの炎の巨大隕石に向かって、高速で打ち出される。
「名付けて、スーパートリトンスペシャル! 食らいやがれっ」
赤く輝く巨星が水の巨塊と激突し、強烈な衝撃波が巻き起こる。凄まじい二つの力が、互いを押し切ろうと激しくぶつかり合う。だがウェイバーの
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