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アマガミフェイト・ZERO
十三日目 十二月三日(土) 後編
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眼前に迫り再び攻撃を繰り出していた。
「へっ足場ならな、どこにだって作れるんだよっ」
 キャスターがランサーを水柱で受け止め、柱をそのまま足場にして、ランサーを再び跳躍させたのだ。
 バーサーカーが全身から炎を吹き出して目くらましを作り、距離を取るために跳躍しようとする。
「同じ手は食らわないっ」
 キャスターが海から水球を打ち出し、バーサーカーの炎を掻き消す。バーサーカーの飛ぶ方向を見極めたランサーが槍を繰り出す。紅と黄の二槍がフルフェイスヘルムを直撃した。吹き飛んでいくバーサーカーの兜にひびが入った。落下地点にヴォーメが、素早く銀の大地を展開する。少しふらつきながら立ち上がるバーサーカーの、兜のひびがますます大きくなる。三人のサーヴァントに向き合った時、兜がぱりんっと割れた。
「えっ、女の子?」
 赤みを帯びた金髪が、兜の下からふわぁっと溢れ出た。続いて、二十歳くらいの凛々しい面立ちの少女の顔が現れた。

「……やはり、おまえだったのか、セイバー! 騎士王としての誇りはどうしたのだっ」
「え? 騎士王って、まさか嘘でしょ!? あの子がアーサー王だというの!?」
 深紅の重鎧に身を包んだバーサーカーの正体、それは前回の聖杯戦争のセイバーであり、伝説に名高い騎士王アーサー・ペンドラゴンであった。
「邪魔スルモノ、滅ス滅ス滅滅滅滅滅滅滅」
 咆哮するバーサーカーの瞳は憎しみと怒りで尖り、ギラギラした真っ赤な輝きを放っている。崇高な思いを胸に秘め、澄んだ泉のような青い瞳の騎士王アーサーの姿は、ここには無い。
「正体が解ったところで、僕のバーサーカーが最強である事に変わりは無いっ。やれっ、三人まとめてぶっつぶせっ」
 狂気に捕らわれた美少女が、炎に包まれた長剣を高々と掲げた。

 騎士王アーサー・ペンドラゴン。正義と騎士道の体現者にして、ブリテンの伝説的な王。万民が望む理想の主君。その正体が少女であった事を知る者は殆どいない。どんな運命の悪戯だろう、ブリテンの繁栄の王として産み落とされた子供が、女の子だったとは。そしてどれほどであっただろう、伝説の王の誕生を仕組んだ魔法使いの嘆きは。だが、彼女の身体には、紛れも無く王の資格が備わっていた。そして彼女自身もまた、人々の希望たる王となる事を望んだ。それだけでは無い。王となったアーサーは、予言通りブリテンを繁栄の極みに導いたのだ。
 アーサー王と円卓の騎士。彼らが居る限り繁栄は限り無く、厄災からは無縁であると誰もが信じていた。そしてアーサー自身も、己の正体を偽って王となる事を望んだのは、間違いで無かったと信じていた。しかし誰が予想しただろう、その嘘故に円卓の騎士がバラバラになり、邪悪が再び息を吹き返す事を。その嘘故に、国を二つに割る壮絶な内乱が巻き起こり、円卓の騎士は分裂し、次々に
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