6話
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を突かれる感触。
「うぶもっ?」
うおっ、と叫び声を挙げそうになったところで口を抑えられた。
女生徒三人の喧騒はまだ止んでいない。彼女らには気づかれていないようだ。
「……もう平気だ。何かようか、レキ」
小声で、傍らに座る少女に、そう語り掛けた。
レキーーキンジの脳内で今まさに挙げられていた、狙撃科Sランクの同級生である。
薄緑のショートヘアに、琥珀色の眼。常にヘッドホンを着けて、ドラグノフと呼ばれる銃を担いだ彼女は、キンジの膝を数回、奇妙なリズムで叩いた。
「指信号(タッピング)はいい。別に見つかっても大したことじゃないからな。見つからないにこしたことはないが」
「了解しました」
指信号。武偵がよく使う暗号の一つだ。
ちなみにさっきのは、会話はバレやすいので指信号を使おう、といった内容だった。
真面目なレキらしいな、とキンジは笑った。
「何をしているのですか」
「ちょっとした隠れんぼだ。見つかったら罰ゲームなんだ」
「やはり指信号を」
「いや遊びだから。そこまでマジにならなくてもいいから」
「ジョークです」
「そうか」
ストン、とレキは微妙に空いた距離を詰めた。
ふわ、とミントの香りが鼻腔をつく。
小柄なレキのそんな仕草はなんとも可愛らしく、近づかれる男は誰でも嬉しいはずだ。
が、キンジは眉を寄せた。
「なあレキさんや」
「なんですかキンジさん」
「ドラグノフの銃口がね、俺の頬っぺたを突き破ろうとしているんだ。なんとか言ってやってくれないか」
「ダメじゃないですかドラちゃん。おイタはメッ、ですよ」
無表情から繰り出されるお茶目な発言は、そのギャップも合間ってかなり可愛い。が。
「いやいやレキ、ドラグノフだからってドラちゃんって略すのは、色々ヤバいからやめて欲しいな」
「参りました、ドラちゃんの返事がありません。キンジさん、至急売店でどら焼きを買ってきていただけませんか。勿論キンジさんの奢りで」
「もうお前分かってやってるだろ!ていうか何ちゃっかり俺をパシらせた上で毟り取ろうとしてるんだ?某ジャイアンだってもう少し良心的だぞ!」
「ちっ……じゃあ割り勘で良いので、早く行って来てください」
「舌打ち?舌打ちしたよな今?ていうかなんで上から目線なんだ、普通お前が金を払うべきだろ!」
「えっ……キンジさん、女の子に食事代払わせるんですか?モテないですよ、そういう気遣い出来ない系男子」
「余計なお世話だ。ていうか、それは見当違いってもんだ」
レキの頭のピヨッとした毛の一房が、ピク、と跳ねた。
「……と言いますと?」
「どうやら俺は割とモテるらしいぞ。さっき裏の女子の話を立ち聞きし
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