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銀色の魔法少女
第三十四話 転校生
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「うん、そうだよ、多分小学生の子だと誰も敵わないんじゃないかな」

 大人も倒す遼の実力を知っているすずかは心の中ですごく頷く。

「うそー、いっつも眠そうにしてるのにそうは見えない」

 アリサが不思議に思って遼を見つめる。

「そうね……、フェイトちゃんは何か運動って出来る?」

「え、はい、棒術ならなんとか」

「棒ね、確か倉庫にあったはずだから、一度体験してみるのもいいかもよ」



 高町家、道場。

 なのはの服を借りたフェイトと、あらかじめここに置いてある運動服に着替えた遼が向き合う、

 フェイトには身の丈程の木の棒、遼は小さい木刀を二つ。

 もちろん、危ないためメガネはすずかが預かっている。

(伊達メガネだったんだ)

 フェイトは表情に出ないものの驚いていた。

 メガネを外す前は大人しそうな普通の子、外した後は綺麗で強そうな女の子と言う感じに遼が違って見えた。

「じゃあ、くれぐれも怪我しないようにね」

 そう言って上げていた腕を下ろす美由希。

 これが開始の合図だった。

「はぁ!」

 フェイトはまずは様子見と遼の持っている木刀めがけて振り下ろす。

 それに対し遼は少しだけ後ろに下がる。

 結果、遼に当たるはずだったそれは虚しく空を切ることになる。

(見切られた! 遼はもしかして本当に強いのかも)

 フェイトは油断しないように、しっかり遼を見つめる。

(太刀筋が良くなってる、迷いが消えたからかな)

 一方遼はフェイトの成長が嬉しく、ついつい気が緩んでしまう。

 その隙をフェイトは見逃さなかった。

「そこ!」

 一気に間合いを詰めて、今度はかわされないように横に凪ぐ。

 あの事件以降、フェイトの太刀筋は格段に良くなり、速さも増した。
 
 しかし、遼はそれを容易にかわせる。

(悲しいかなぁ、まっすぐな一撃ほど先が読みやすいのよね)

 もちろん、ブレた太刀筋より、ブレない方が威力があるに決まっている。

 けど、地獄の特訓で『見切る』ことを覚えた遼にはブレない方がかわしやすかった。

 しゃがんで棒をやり過ごすと、そのまま反撃を開始する。

 ハズだった。



                「ふにゃあ!」



 気の抜けた声が、道場に響く。

 床に倒れているのは遼で、それを見下ろしているのはフェイト。

「は、遼ちゃん!」

 すずかが慌てて抱き起こす。

「あう、あぅ……」

 遼はくるくると目を回し、とてもじゃないが立てそうにない。

「あちゃー、もうちょっとだったのにねぇ」
 
 美由希は何が起こったのか
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