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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十九話 末路
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来ない事が書かれていました』
トリューニヒトの言葉にプレスルームがざわめいた。相変わらず演出が上手いな、観客を惹き付ける術を良く知っている。ホアンに視線を向けると彼も肩を竦めて苦笑を浮かべた。

『地球教団支部からサイオキシン麻薬が発見され信徒達からもサイオキシン麻薬の摂取が確認された。信徒達が狂信的ともいえる抵抗を示したのはサイオキシン麻薬の投与による洗脳が原因であると』
プレスルームに大きなどよめきが起こった。記者達が興奮して口々に何かを喋っている。“馬鹿な”、“有り得ない”だろうか。

トリューニヒトがまた手を上げて騒ぎを止めた。そしてプレスルームをゆっくりと見回す。
『同盟政府は同盟市民の生命の安全とその基本的人権の尊重を守らねばなりません。サイオキシン麻薬の危険性は言うまでも有りません。地球教団がそれを信徒に与える、それを利用して同盟市民を洗脳している等という事は断じて見過ごすことは出来ない、許すことは出来ない。強制捜査は同盟市民を守るために必要な処置であったと確信しています』
プレスルームがシンと静まった。

『それで、サイオキシン麻薬は……』
メガネが食い下がる。トリューニヒトに変わってアイランズが答えた。
『教団支部からはサイオキシン麻薬は発見されませんでした。しかし信徒達からはサイオキシン麻薬の摂取が確認されました。地球教団がサイオキシン麻薬を投与する事で信徒達を洗脳しているのは間違いない事だと思われます』

プレスルームの記者達が彼方此方で頷いている姿が見える。どうやら連中にも地球教団が危険であることが分かっただろう。
『ここに同盟政府は次の事を宣言します。地球教団は宗教団体に非ず、同盟市民の安全と基本的人権の尊重を踏み躙る暴力主義的破壊活動を行っている反社会的な武装集団であると。よって同盟政府は地球教団に対し国内保安法を適用し教団の活動の停止、即時解散を命じます』
トリューニヒトの発言の終了と共にフラッシュが焚かれスクリーンが眩しい程の光で包まれた。


トリューニヒトが戻ってきたのは会見が終了してから十五分ほど経ってからだった。
「遅かったじゃないか、引きとめられたのか?」
私が問い掛けるとトリューニヒトが苦笑を浮かべた。
「しつこいのが居てね、参ったよ」
眼鏡かなと思ったが口にはしなかった。

「なかなか良い会見だった。市民を守る議長の苦渋の決断が良く表れていたよ。同盟市民も感動しただろう」
「同感だな、これでまた支持率がアップだ」
「有難う」
ホアンと私が冷やかすと益々トリューニヒトの苦笑が大きくなった。まあ支持率が上がれば政局の運営はし易くなるのは確かだ。悪い話じゃない。

「記者達も大分ショックを受けていたようだな」
「ああ、私は彼らの前に居たからね、反応が良く見え
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