第九章 双月の舞踏会
第六話 揺れる心
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、先程とはうって変わった不敵な笑みが浮かんでいた。
「憧れてもいる実の姉さえ参戦したことから、例えこれからどんな人が参戦したとしても、特に気にならなくなってしまったとお話に来ただけです」
「ッ!? ルイズそれってどういう―――」
「それではわたしは失礼します。また、遊びに来ますね姫さま」
アンリエッタの呼び止める声を制するように、頭を下げたルイズが扉の向こうに逃げるように出て行ってしまった。
一人ベッドと机しかない何もない部屋に残されたアンリエッタは、ベッドから腰を上げただけの中途半端な姿勢から、後ろに倒れると、天井を仰ぐ。
「何を考えているのよルイズったら……」
部屋から出る直前見えたルイズの顔には、悪戯に成功したことを喜ぶ子供のような笑みが浮かんでいた。ルイズの考えていることが分からず、否、分かっているが信じられず両手で顔を覆ったままアンリエッタが唸り声を上げながらベッドの上を転がっていると、
「ッ! 誰ですか」
扉がノックされた。
「わたくしです。よろしいでしょうか」
扉の向こうから聞こえたのは、アンリエッタのスケジュールを管理する秘書官の声であった。
慌ててベッドから降りたアンリエッタは、服の皺を手で伸ばしある程度体裁を整え終わると、扉の向こうに「どうぞ」と声をかける。
「失礼します。陛下のこれから二週間の予定について確認をいただきたく」
アンリエッタ許可を受け入室して来たのは、ひっつめ髪に眼鏡をした三十をいくらか過ぎた女性であった。
秘書官はアンリエッタの許可を受けると、今後二週間のスケジュールをそれこそ分刻みで読み上げる。物思いに耽る暇もないと溜め息を吐きそうになるのをグッと堪え、アンリエッタは秘書官の読み上げる予定について返事を返していく。
淀みなくスケジュールを読み上げていた秘書官であったが、不意にその声が止まった。
「どうしました?」
アンリエッタの声に、秘書官はメガネをかけ直すと、手に持ったスケジュールが書かれた紙に視線を落とした。
「第一週のフレイヤの虚無の曜日に魔法学院で行われるスレイプニィルの舞踏会への出席が入っておりますが、どういたしますか? 舞踏会といっても魔法学院の新入生の歓迎会でしかありませんので、キャンセルしても全く構いませんが」
「スレイプニィルの舞踏会ですか……」
「はい。新入生の歓迎会に陛下の来賓を仰ぐなど、全くオスマン氏は何を考えているのか……最近休みが取れておりませんでしたので、これをキャンセルして一日休みにして―――」
最近の過密したスケジュールの中で、一日の休みは千金にも値すると分かっている秘書官は、アンリエッタがこの提案に喜んで乗るものと思ったが、
「い
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