第九章 双月の舞踏会
第六話 揺れる心
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!!?」
今度はアンリエッタの方が、ルイズの言葉に押されるように横倒しになりかける。
「し、し、し……こほんっ。シロウさんのことで話とは?」
しかしベッドの上に倒れるギリギリのところで踏みとどまったアンリエッタは、何とか体勢を立て直すと、わざとらしくこほんと一つ咳をしてルイズにニコリと笑顔を向ける。
「……やっぱり」
「何か?」
アンリエッタの様子を半目で睨んでいたルイズがポツリと口の中で何かを呟く。聞き取れなかったアンリエッタが聞き返すと、ルイズは何でもないと首を振った。
「それでシロウさんのことが何か?」
「実はですね。最近シロウの周りに女性の姿を多く見るようになったんです」
「……そうですか」
「はい。実は前からシロウは学院の女子から目をつけられていた節はあったのですが、どうやら平民であるということが抑止力になっていたようです。しかし、今回シロウがシュヴァリエになったことで、行動に起こさなかった人たちがシロウにちょっかいを掛け始めたんです」
「……早まったかしら」
「姫さま?」
ぼそりとアンリエッタ口の中で呟いた言葉が聞き取れず、今度はルイズが聞き返すが同じように何でもないと首を振られる。
「それも頭が痛いことなんですが、何よりも頭が痛いのはアルビオンから学院に戻ってみると、ちいねえさまとジェシカがいたんです」
「ちいねえさまにジェシカ? 確かちいねえさまと言えば、フォンティーヌ家の当主でもあるあなたの一つ上の姉でしたね。ジェシカという名前は聞いたことが……」
小首を傾げるアンリエッタ。
「ジェシカと言うのは、以前姫さまの命により情報収集をしていた際、拠点にしていた店の看板娘のことです。どうやらその時にシロウを好きになってしまったようで、とうとう学院にメイドとしてやって来てしまいました」
「それは、何と言うか……その……」
余りのことで、アンリエッタが言いよどんでいると、はぁ〜と溜め息を付きながらルイズは天井を仰ぐ。
「ちいねえさまも以前実家に帰った時に、どうもシロウにヤられてしまったみたいで……学院に教師としてやって来ました」
「えっ! でも、確か彼女は身体が弱くて領地から一歩も外に出れないと聞いたことが」
原因不明の病にかかり身体が弱いため、子供の頃からラ・ヴァリエールの領地を一歩も出ることがなかったため、不憫に思ったヴァリエール公爵が領地の一部を与えられ、名目上ではあるがラ・フォンティーヌ家の当主となったカトレアの話は耳にしたことがある。
幼い頃何度もヴァリエール公爵家にいったことがあるアンリエッタであるが、感染るような病気ではないが、それでも大事をとったためカトレアに会うことはなかった。
「その筈だったのですが、ど
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