第81話 罠
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立てた。
「シグナム、私の大切な仲間達をこないに酷い目に会わせた奴を放っておく事なんてでけへんよ! 今、私の胸の内は煮えくり返る思いで一杯なんや!」
「しかし……」
渋るシグナム。そんな彼女の肩に手を乗せる者が居た。ザフィーラだった。
「シグナム、お前がそんな弱気になるとは珍しいな。だが、我等は騎士だ。例え強大な敵だったとしても見もせずに引き下がる事など出来ない筈だ」
「それは、そうだな……」
彼の言う事も会っている。幾ら強大な敵と言えどもそれを見もせずに引き下がる事など負け犬以下。弱虫のする事だ。そして、自分は弱虫か?
己に問い、そして否定した。自分は騎士だ。負け犬でもなければ弱虫でもない。
「とにかく、近辺に何かないか散策しよう。良いか、くれぐれも単独行動は避けるんだ。敵はどんな罠を仕掛けているか分からない。慎重に行動するんだ! 良いね」
本郷の指示の元、一同は周囲の確認を行った。周囲の探索をしながらも、誰もが頭上にある不気味なブロンズ像に目をやり、そして地上に目を移した。
誰もが不安と怒り、同時に恐怖を胸に抱きつつも、これらを作り出した張本人を探し出す為に尽力をした。
だが、誰もが探しつつも思っていた。もし、こんな事をしでかした輩と出会った際、果たしてどう対処すれば良いか。
誰もがその答えを求めつつ、声を出さずに行動に移した。
不安を払い除けるには動くしかない。恐怖を払拭する為には行動に出るしかない。要は誤魔化しであった。
「ん?」
ふと、足元に転がる何かを見つけた。地面に広がるのは一面黄土色の土だけだ。そんな土だけの大地の中で一筋に輝く存在が見えた。
赤く輝く球体の宝玉。それはかつての戦いを生き抜いた者ならば誰もが知り得ている物だった。知っていて当然だった。知らない筈がない。
何故なら、それは……
「レイジング……ハート?」
フェイトは口にした。その宝玉の名前を。其処にある筈がない物の名前を。何故だ、何故お前は其処に有る?
お前は今まで何所に落ちて、今まで何所を流れ、どうやって此処に辿り付いたのか?
その経緯は全く分からない。だが、それが本来の主の下を離れて此処に落ちていたと言うのは揺ぎ無い事実でもあった。
「どうした? 何か見つけたのか」
「皆さん、こっちに集まって下さい」
周囲に散っていた仲間達が揃ってフェイトの元へと集まっていく。
何かを見つけたのだと推測し、そしてそれがこの悪夢を切り開く鍵となる事を願いつつも。
「何かあったのか?」
「これを……」
地面に落ちていたそれを手に取り、皆の見える位置にそれを伸ばす。幼いその手に平に赤い宝玉は置かれていた。日の光を受け、赤い球体が更に輝きを見せる。
まるで、自分の存在を主張するかの様に。
「本郷先輩、これ
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