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不思議なスライム
スラ吉と海藻

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「キュー?」

「ギュー(実はだな…)。」

スラ吉は話した。
子分の1匹から、海藻を貰いに行くらしい。
スラクックとスラ太朗は舎弟。
その更に下に、大勢の子分達がいる。
素行の悪い問題児だが、舎弟や子分には優しいスラ吉。
リーダーとして慕われているのだ。

「ギュー(来いよ、ワカメを分けてやるぞ)。」

おいおい。
薬草を奪おうとした奴に、ついていくわけないだろう。
しかも戦って、痛い思いもしたし。
いくら能天気で、食い意地の張ったスラ子とはいえ・・・。

「キュー♪」

っていくんかい!
スラ子よ、いい加減食べ物に釣られるのはやめろ。
そのうち酷い目に遭うぞ。

「ギューギュー(海藻は食べた事あるか)?」

「キュー!」

「ギューギュー(あるか、あれは草と違ったうま味だよな)。」

「キュー♪」

海藻で意気投合している2匹。
どこからつっこめばいいのやら。
・・・もう諦めよう。
ちなみに「かいそう」は、海藻と海草の漢字がある。
この違いは明白。
海藻は胞子植物で、海草は種子植物だ。
スライムは海藻を食べない。
正確には食べる必要がない。
草や木が豊富な陸。
海に潜ってまで食べるのは、とても面倒。
スラ子は昔、砂浜に打ち上げられていた海藻を見つけ、もぐもぐと食べた。
1度だけだったが、あの独特の味は忘れられない。
しばらくの間、また打ち上げられてないか探した程だ。
故に、誰もスラ子を止められない。
頭の中は、海藻の2文字でいっぱいである。

「キュ?」

キョロキョロと辺りを見回すスラ子。

「ギュ(どうした)?」

「キューキュー。」

「ギュー(スラクックとスラ太朗か)?」

そういえば、2匹の姿は見えない。
今日は一緒に行動していない?
スラ吉は面白くなさそうな顔で答える。

「ギュー(スラクックはワカメが大嫌いなんだ)。」

なるほど、それは仕方ない。
どんな生き物でも、好き嫌いはある。
スラ子は無さそうだが・・・。

「キューキュー。」

好き嫌いなんて、困ったスライムだって?
・・・・・・。
はっはっはっ、分かってないな。
食べ物に関しては、お前も困った部類に入るんだぞ。
自覚しろ!

「ギュー(スラ太朗はワカメアレルギーだ)。」

アレルギーか。
好き嫌いより深刻だ。
酷いアレルギーになると、死に至る場合もあるらしい。
滅多にないけどね。

「ギュギュ(おっと長話したな、行くぜ)。」

「キュー!」





「ギュー(目指すは、地底湖の洞くつだ)!」





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