崑崙の章
第15話 「それで、私はどうしたらいいのかな?」
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……」
「いざという時、危険を共にしない人物に、人は絶対ついてこない……ご主人様の言葉だよ、愛紗ちゃん」
「………………はい」
「私は誰かの後ろで待っているだけなんて、もうしない。したくもない。だから、私は例え非力でも皆と一緒にいます。今後、これは私の絶対命令とします。朱里ちゃんも雛里ちゃんも、覚えておいてね」
……私は、本当に桃香様を見損なっていたのかもしれない。
桃香様が、ここで前線に立つと言い出すなんて、今の今まで思いもしなかった。
私達がご主人様によって変わった様に、桃香様も変わられようとしている。
今の今まで……桃香様を徳だけの人物と侮っていた自分を恥じた。
「……わかりました。でしたら今回、防衛は外壁を使わず、漢中手前での野戦にしたいと思います」
「なっ……!? どういうことだ、朱里! 桃香様を殺すつもりか!?」
愛紗さんが怒るのも当然です。
外壁に守られている限り、桃香様に限らず、兵の生存率も格段に上がるのですから。
でも、今回はそれをあえて破ります。
「桃香様……今回、相手との兵力の差はほとんどありません。本来でしたら防衛戦をすれば負けはしないでしょう。ですが、それをあえて野戦にして敵を倒します。それでも……それでも前線に出られますか?」
「出るよ、もちろん。例え私が死んだとしても、それを恨みに思うつもりもないし、そんな事にならないから大丈夫」
「桃香様!?」
「大丈夫だよ、愛紗ちゃん。朱里ちゃん、そして雛里ちゃんという二人の大軍師がいるんだもん。絶対に大丈夫。私はそう、信じてる」
その言葉に、私と雛里ちゃんはお互いを見て、その場に跪きます。
「桃香様……改めて誓います。盾二様がお帰りになるその日まで、私達二人は、あなたを盾二様と思い、誠心誠意お仕え致します」
「私達二人に……どうぞお任せください」
「うん。信じてるよ、二人とも!」
私達の言葉に、にこやかに笑う桃香様。
この方の徳は……おそらく大陸一でしょう。
「それで、私はどうしたらいいのかな?」
―― other side 漢中近郊 ――
太陽が赤く染まり、すでに刈り取られた田園を紅に染めてゆく。
その田園の土を穿り返すように、荒々しい集団が武器を手に歩いてゆく。
その集団の腕には、皆同じような布が巻かれており、その色は黄色で統一されていた。
黄巾党――その残党の集団、五千があと数里の漢中へと進軍していた。
「ちぃ……この辺の邑なら食料がたんまり手に入ると思ったのによ……」
森の間を抜け、小高い丘へと昇る道中。
賊の一人が周囲の刈り終えた田畑を見て呟く。
「田や畑は収穫済み、邑は新しくなった漢中
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