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ローエングリン
15部分:第二幕その八
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の前に出てはならない」
「くっ・・・・・・」
「だがこれで」
 二人は彼の強い言葉と視線の前に下がるしかなかった。だがそれでも感触ははっきりと感じていた。
 騎士はエルザを優しく抱く。そのうえでまた告げた。
「貴女の真心にこそ幸福があるのです」
「私の心に」
「そうです。ですからそれを忘れないように」
「わかりました。私を救い幸福をもたらせして下された方」
「はい」
「私は今あらゆる疑いの魔力の上に高く愛を唱えましょう」
「そう、そうあるべきなのです」
「今ここに祝福を」
 騎士が言うと周りの者達もそれに続く形で言いだした。
「どうか婚礼の場へ」
「神の導きを受けられよ」
「徳高き方々よ」
「エルザ=フォン=ブラバントに神の御加護を」
 人々に祝福されつつ歩きだす二人。エルザは騎士の横に寄り添っていたがふと見るとそこにオルトルートがいた。彼女は勝利を確信したように勝ち誇った笑みを浮かべ右手を彼女の方に出してきた。エルザはまた青い顔になりそれから顔を背ける。だがここでまた騎士がエルザの前に出てオルトルートを牽制する。それを見た彼女は姿を消す。だが彼等はそれでも人々に導かれ婚礼の場である寺院に向かうのであった。

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