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Over the trouble
第一章
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                  Over the trouble
 世界を敵に回した、その国はまさにそうだった。
 僕はテレビを一緒に観ている彼女にこう言った。
「やっちまったよなあ」
「ええ、またね」 
 彼女もテレビを観ながら僕に応える。
「やったわね」
「そうだね、その国は」
「ええと、これまでやらかしたことって」
「スポーツだけでもね」 
 このジャンルに限ってもだった。
「サッカーに野球に柔道にね」
「剣道でもやったわよね」
「決勝で日本に負けて礼をせずに帰ったわよ」
「それってどうなの?」
 彼女はここで僕に顔を向けて尋ねてきた、小学校から大学の今まで剣道を続けている僕に対して。
「三段の腕前を持つ人としては」
「そんなこと学生の試合でやったら剣道連盟が激怒してね」
 このことは確実だった、まさに偉い先生達の逆鱗に触れることだ。
「その学校出場停止だよ」
「絶対にそうなるのね」
「確実にね、剣道で絶対にやったらいけないことだから」
「それをやらかしたのね」
「しかも国際試合でね」
 堂々とだ、やらかしたのだ。
「日本でやったら本当に大変なことだったよ」
「ううん、それで今もなのね」
「ホッケーでも没収試合やったし」
 これも国際試合においてだ。
「大差で負けまくって抗議してね」
「それで没収試合って」
「酷いと思うよね」
「私テニスやってるからまだそっちでは話がいってないけれど」
 それでもだとだ、彼女も呆れ顔で首を捻りながら答える。
「いや、とてもね」
「有り得ないわよね」
「有り得ないよ」
「それで今もよね」
「バスケもねえ」
 女子バスケの試合だ、今回も国際試合だ。
「いや、これは酷いね」
「日本の選手やられまくりじゃない」
 ラフプレイをだ、しかも女子の試合で。
「酷いわね、これ」
「日本の選手怪我してないといいけれど」
 僕は観ていてこのことを真剣に危惧した。
「バスケは接触多いからラフプレイも起こりやすいけれどね」
「それでもこれはないわね」
「またサッカーの試合があるし」
「不安が多いわね」
「うん、かなりね」
 僕は難しい顔でそのバスケの試合を観ながら彼女に応えた。
「不安だね」
「サッカーが特に酷いわよね、あの国」
「ワールドカップでもこれまでの国際試合でも」 
 その数々の場でだ、それこそだ。
「ラフプレイに審判買収にサポーターの応援にね」
「どれも酷過ぎたわね」
「大丈夫かな、また日本が試合するけれど」
 本当に試合をして欲しくない、僕は心から思った。
「フェシングでもバトミントンもね」
「そっちは日本は関係なかったけれどね」
「それでも観てるとね」
 心からだ、どうなるか不安で仕方なかった。 

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