暁 〜小説投稿サイト〜
狂った私をお食べなさい
しじみちゃん
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ていた。

自分がお腹を痛めて産んだ子供に
こんな恐ろしいことをされてしまうほど

私は
暗くて重たい禁忌を犯してしまったのだ。

走馬灯を見た。

階段に何度も頭を打ち付けながら
落ちていった。


目が覚めると其処は
とてもカラフルな世界だった。
たくさんたくさん
カラフルなお花が咲いている。

カラフルなお洋服を着た人達が
虹色の橋を渡っていた。

…なーるほど。
これが三途の川かぁ…
イメージしてたのと全然違うわ…

すると
真っ赤な髪の毛をした
オカッパ頭の女の子が
赤い水玉のワンピースに
赤い靴で
ニッコリ笑いながら
こっちに向かって
てくてく歩いてくる

…おそらく小学1、2年生くらいだろう。
その子の顔のパーツは小さくて
例えるなら紫式部…清少納言…
なんとゆーか、
つまりとても和風な顔立ちだ。

ちょこんとした目が笑うことに寄って
開いてるのかわからないくらい細くなって
ぷっくりしたペコちゃんのような
下膨れのほっぺたが更に膨らみ
ちょこんとした鼻の穴も膨らむ。

そして
首にぶら下げたお菓子のオマケのような
プラスチックのネックレスを自慢気に見せてきて
どや顔をしてきた。

「可愛いでしょ!」

とっても元気いっぱいの笑顔で
そう言う女の子に
私もつられて笑顔になってしまう。

「可愛いね。似合うね!」

私がそう言うと
その子はすごく嬉しそうにニコニコして

やっぱりシジミみたいに目がなくなる。

それがまた彼女の愛嬌を引き立てるのだ。

だから
私は心の中で
その子に「しじみちゃん」と名付けた。

しじみちゃんは
ほんとにキラキラキラキラした目をしていた。

「これあげる。
オバチャンのこと守ってくれるよ」

そう言いながら
しじみちゃんは私の首に
プラスチックのネックレスをかけてくれた。

「いいの〜?」

私が戸惑っていると、
しじみちゃんはニッコリ笑って

「いいよ〜。
だから、その赤い口紅ちょうだいよ」


私の唇を指差した。

別にいいけど…おませさんなのね〜。

私はポケットから
口紅を取り出して

しじみちゃんに

「はい!ブツブツ交換だね。」


言いながら渡すと

しじみちゃんは

「わ〜い!ママ〜!見てみて!
ブスブス交換したよ!」

と言いながら走っていく。

ブスブス交換…
私は久しぶりに爆笑してしまった。

しじみちゃんは
とても細くてキレイな女の人のところへ
走っていく。

ふたりが
くしゃくしゃに笑った顔は
とてもそっくりで
やっぱり母娘だな、と思った。


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