しじみちゃん
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魔にする
痛い痒い痛い
ダレカタスケテ
ワタシヲユルシテ
カイホウサレタイ
溢れてきそうなそんな感情を麻痺させながら
横にいる息子を見てみると
やっぱり
息子も笑っていた。
さすが私たち親子。
なんておかしい親子なのかしら。
同じ闇の中で
狂気を半分こする親子。
歪んだ絆。
ふと笑ってる息子と目が合った。
私が
ニコッて微笑みかけると
息子は
私に覆い被さり
私の中に入ってきた。
深く深く息子のものが
私の中に沈んでゆく…
子宮めがけて
深く鋭く刃物のように
突き刺さる
もっと私を壊して
もっと私を殺して
もっと私を悪魔にして。
ずくんずくん
快感が響く
貴方は
此処から生まれたのよ。
だから、
こうすることは
ごく自然なことで
なーんにも悪いことではないわ。
私が産んだ子供よ。
自分の子供をどうしたって
私の勝手でしょ。
あんな小便臭いクソガキより
私の方がとおるちゃんのこと
よく知っているわ。
息子は
私の中に入ったままで立ち上がった。
つまり駅弁の状態だ。
私と繋がったまま
私を廊下に運んでいく。
しっかり抱き抱えられているけど
やっぱり不安定な体制なので
私は恐怖を感じた
「とおるちゃん。やめてちょうだい。おろして」
そう言ってもおろしてもらえず
私の子宮は深く深く
彼を受け入れたままで離してくれない。
…この子ってば
いったい何をしたいのかしら。
まさか…彼女の前で見せつけるつもり?
そう考えると
私は興奮してしまって
より一層大きな声を出してしまったの。
とおるも
とても興奮して
私の中で果てたのが
伝わってきた。
ドクンドクン。
ふたつでひとつの鼓動。
生まれる前から一緒。
私達はずっと一緒。
貴方はずっと私だけのもの。
私も貴方のもの…
きっとずっと
貴方からは逃れられない。
私たちは離れられない。
…「ねぇ、もういいでしょ。そろそろ降ろしてよ」
乱れた呼吸を整えながら
そう言うと
突然カラダが傾いた。
下は階段…
「いやっ、怖い…」
とっさに
とおるの首に回した腕も
重力に負けて
虚しくスルリとほどける。
私
自分が命をかけて産んだ子供から
命を奪われる瞬間だった。
やっ、やっ、やああああああっ…
誰かの悲鳴が聞こえた
それは間違いなく私の声で
それは間違いなく現実で
私はその時の
とおるの顔をしっかり見てしまった。
とおるは笑っていた。
光がない真っ暗な目で
笑いながら泣い
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