悪魔の島編
EP.14 グレイの選択
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。本気ではないにしろ、その剣は仲間に対して向けていいものじゃない」
「だが……!」
「いいから、ここは任せろ。そのままじゃ、ルーシィも話せないだろう」
「……分かった」
不満そうな様子を見せるエルザだったが、ワタルの説得に渋々折れると、剣を魔法空間に収める。ワタルは内心でホッと息をつくと、エルザに礼を言った。
「すまん。一つ借りだな」
「……別にいいさ。お前にはいつも助けられてるからな」
「そうか……じゃ、ハッピー頼む」
「ああ」
思ったよりも早く機嫌を直したエルザにホッとしたワタルは、気絶しているハッピーをエルザに渡すと、ルーシィに向き直り、口を開いた。
「とりあえず、ナツとグレイもいないと話にならん。ルーシィ、案内してくれ」
「え、でも……いいの?」
ワタルはあっさりそう言うと、ルーシィに背を向けて歩き始めた。
ついさっきまで、エルザに『ギルドへ連れ帰る』と剣を向けられていたため、彼女と真反対の態度をとるワタルに戸惑ったのだろう、ルーシィがエルザの方をチラっと見て聞くと、エルザはワタルに聞こえないように口を開く。
「ルーシィ、ワタルが『任せろ』って言ってるんだ。何か考えがあるんだろう。判断に従えばいい」
「……信じてるんだね、ワタルの事」
「当たり前だ」
先程とは手のひらを返したような態度のエルザに戸惑いを感じない訳ではないが、エルザのその言葉は、ルーシィを納得させる何かがあった。
エルザは即答して、先を歩くワタルの背を優しげな眼差しで見つめながら続ける。
「アイツは……私の大切なパートナーで、半身みたいなものだからな」
「そう……」
自信を持ってそう言い切るエルザに、ルーシィは少し羨ましがるように言う。
躊躇いなく信じる事が出来る、というのは言葉にするよりも難しい。まだ妖精の尻尾に入って日の浅いルーシィは、自信を持ってそう言い切れる男がいるエルザを羨ましがり……なによりも憧れた。
一人の仲間としても……女としても。
「――まあ、それとこれとは別だ。きっちり罰は受けてもらうからな」
「……ですよねー」
= = =
翌朝……妖精の尻尾の魔導士、グレイ・フルバスターは、村の資材置き場の仮設テントで目を覚ました。
デリオラ復活の儀式を行っている遺跡の頂上で兄弟子・リオンに敗れた彼は、ナツに運ばれる途中で気絶。その後村が魔導士達の攻撃によって壊滅してしまったため、ここで目を覚ました、という訳だ。
村人に昨夜起こった事を説明されたグレイは、指定されたテントに傷の痛みに顔を顰めながら到着し、入り口をくぐった。
「よう、グレイ」
「……」
「ワタル!? それにエルザまで……」
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