ポワン様は見ていた
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た当初は、様子を窺うようにしていました。
それも驚いたり怯えたりと言ったことでは無く、やはりそうかと納得したり、どれほど時間がかかるのかと考えたり。
まるで、大人のように。
一瞬のことで、それだけなら気のせいだと、思ったかもしれませんけれど。
占いの結果に私の感覚、それに今、見たこと。
やはり間違い無いのだと、私が考えるのには十分でした。
あとは、私の罪悪感だけ。
こんな子供に全てを託して、座して待つことへの。種族は違っても、大人としての。
剣を振る力を持たない妖精として、その村長として、自ら解決に向かうのは、荒事になると考えられるこの状況では、無謀でしか無いのですけれど。
どうするのが正しいか考えることと、そうすることで良心が咎めないのかは、また別のことですから。
それでもそんな葛藤は、私ひとりが抱えれば良いことです。
「どうか、フルートを、取り戻していただけませんか?」
私が何を思い、悩んだとしても、出来ること、するべきことは決まっています。
そして、彼女は断ることも出来るのです。
「はい!はるがこないと、おやさいもつくれなくて、みんな、こまりますから!がんばります!」
快く受けてくれたからと言って、私の罪や責任が軽くなることも、無いですけれど。
ベラをお供に付けてドーラを送り出し、そのままベラにかけた遠見の魔法で、ふたりを見守ります。
村長としての仕事は当然ありますが、フルートが無い状態で出来ることは既に終え、あとはフルートが戻るのを待つばかり。
見守ったところで、私に出来ることなど無いのですけれど。
危ない場面を見たとしても、そのときに動くのでは間に合うはずも無く。
仮にその場にいたとしても、戦いの場では、ベラほどにも役には立てないでしょう。
私に出来ることは、ただ、己の罪と向き合うこと。
こんな幼い子供を、戦いに駆り立てたという、事実と。
フルートを盗んだ元村人のドワーフのお孫さんは、問題無く退けて。
これも、いずれは向き合わなければならないことと覚悟し、それでもこれまで機会が無く……。
いえ、無かったのでは無く、作らなかっただけですね。
村長の仕事を引き継いで間も無く、どれほど忙しかったのだとしても。
その気があれば、時間は作れた筈なのですから。
彼のことは、前任の村長からも、頼まれていたのですから。
「本当は私がするべきことなのだろうが、私の謝罪は受け入れられないだろう。私も、許して欲しいとは思っていない。私を悪者にして良いから、どうか彼を。憎しみから解き放って、村に受け入れてやってくれ」
そう言って、妖精の城でのお
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