ポワン様は見ていた
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私たち妖精の宝、ただ貴重というだけでなく、季節を司る役目を果たすためにも重要な、春風のフルートが盗まれて。
平和な村で、見張りを立てるような習慣も無く。
ただ美しいだけの宝ではなく、妖精の村長以外には奏でることも出来ないものを、まさか盗むような者がいるとも、考えなかったこともあるでしょう。
そろそろ春を呼ぶ時期だということで、担当の者が手入れをして、出しておいた一瞬の隙を突かれて。
なんと言おうと後の祭り、村長である私の責任も免れるものではありませんが、まずは目の前の問題を解決しなければ。
妖精の村の長に代々伝えられる占いを用いて示されたのは、小さな村。
そこに、私たちを助けてくれる、長じては私たちの力を必要とする、小さな戦士がいる。
そして、向かうべきは、ベラ。
長じて、小さな、など、引っ掛かる言葉はありましたけれど、妖精の村長の占いが、外れることはありません。
使者に選ばれたのが、そそっかしいところの多々あるベラだということも、引っ掛かりはしましたけれども。
捜索や交渉には、お世辞にも向いているとは言えないベラですが、ここぞというところの判断を、間違うことは無い子です。
そのことと行動力の高さを買って、目をかけ、重く用いているのも私です。
占いがこうと示すからには、この子が向かうべき理由があるのでしょう。
納得し、私の判断で送り出したその結果は……頭の痛くなる部分もありましたが。
それでもベラは、間違いなく戦士様を連れ帰ってきました。
懸念していた通りの、本当に小さな、可愛らしい戦士様。
この子の親であったなら、箱にでもしまい込んで、守り慈しみたくなるような、美しく愛らしい子供。
瞳の光に意思の強さは感じても、外見だけ見ればとても荒事になど向かないような。
それでも間違いなく、この子がそうであると。
私たちのこと以外にも、大いなる運命を背負った存在であると、一目見た瞬間にわかりました。
村の様子に興味を持っている様子だったこと、にも係わらずベラが急かすように連れて来てしまったこと、ベラに言っておくべきことがあったこと等々。
諸々の理由を付けて、ベラに言い聞かせる時間を取るついでに、小さな戦士様、ドーラの様子を窺います。
占いが外れることは無いこと、私の感覚も間違い無いと示していること、それでも。
こんなに小さな子供に、頼ってしまって良いものか。
客人を放って内輪の説教をする形になってしまっている私の態度にも動じること無く、連れのキラーパンサーの子供と村の景色や部屋の様子を楽しんでいる、ドーラ。
子供ゆえの無邪気さであると、取れないことも無いのですが。
私がお説教を始め
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