ザイルくんの厳しい現実
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!!
そんな混乱するオレの心まで見透かしたように、静かに語りかけるドーラ様。
「ザイルくん。ザイルくんは、ゆきのじょおうさまが、すてきだと、おもったんですよね?それは、みためだけ、だったんですか?」
「……ち、違い、ます……!だけど……!!」
あのひとを、たしかに美しいと思った。
だけどそれは、見た目だけのことじゃなくて。
あんなに美しいのに、誰からも好かれ求められるだろうに、なぜか感じる寂しさ。
オレと、同じような。
そういったものに、ひかれた、はずだった。
それなら、本当の姿がどうでも関係ない、と言わないといけないのかもしれない。
だけど、まさか、あんな……!!
「あのひとは、おんなのひとです」
「いや……!あれは、どう見ても……!いくら、ドーラ様の、お言葉でも……!!」
この方が騙すほどの価値はオレにはないと、思い知ったばかりだが。
それでも、疑ってしまう。
オレを慰めるためにこんな明らかなウソを、ドーラ様につかせてしまっているのではないか。
そんなオレの戸惑いすら恐らく見通しているだろう、ドーラ様が言葉を続ける。
「こころは、おんなの、ひとです。」
「……!?」
全く意味がわからない。
だが理解できないことをそのままにしてきた結果、こんな馬鹿なことをしでかしてしまった。
ドーラ様が仰るからには、なにか、意味があるはず……。
「こころと、からだが、おなじじゃないひとが、いるんです。あのひとと、おはなし、しました。あのひとは、おんなの、ひと、でした。」
一言では理解できない馬鹿なオレに、ゆっくりと、言い聞かせてくださるドーラ様。
だがそれでもオレが馬鹿すぎるのか、まだ理解できない。
説明を続けてくださるドーラ様。
「ほんとうは、からだも、おんなで、うまれたかったんです。おんなのひととして、ザイルくんを、すきに、なったんです。」
オレは、馬鹿だから。
あまりにも、ものを知らないから。
この世にはオレの知らない、理解できないことが、たくさんあるんだろう。
これはきっと、そのひとつなんだろう。
そのことだけは、なんとなくわかってきた。
「でも……!オレは……!」
だけどオレの、この気持ちは!
それがそうなんだとしても、ウソをつかれて、そうだと信じて抱いてしまった、まっすぐな想いは……!
気持ちだけで済まされない、あれこれは……!!
まっすぐにオレを見つめて言い聞かせていたドーラ様の、雰囲気が変わる。
「……だから、いなくなりました。ザイルくんに、ゆるしてもらえないと、おもって。いなく、なりました」
「……!」
たしかにオレは、あのひとを……いや、ヤツを許せな
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