ザイルくんの美しい思い出
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てたはずじゃなかったのか。
むらおさとかいうヤツが、じいちゃんを追い出しさえしなければ。
オレはそのあとも何度も村に入り込み、オレと同じくらいの子供が両親と幸せそうにしてるのを、胸が痛くなるような思いで見ながら。
とうとうむらおさが、ポワンというヤツだと突き止めた。
その日、洞窟に帰るとオレはじいちゃんに言った。
「じいちゃん。じいちゃんはこれでいいって言うけど、オレはそんなのはイヤだ。じいちゃんがやらないって言うなら、オレがかわりに復讐してやる。じいちゃんを追い出した、むらおさのポワンに。オレが、思い知らせてやる!」
じいちゃんは顔色を変えて、オレを怒鳴りつけた。
「お前は、何を言っているんじゃ!言うに事欠いて、ポワン様に、復讐するなどと!あの方はドワーフどころか、人間や魔物といった他の生き物にも広く門戸を開く、素晴らしいお方じゃ!そもそもわしを追い出したのは、ポワン様では無いんじゃ。良いか、馬鹿な考えは捨てるんじゃ。もう少しポワン様の統治が落ち着いて、お前が望むなら、村に住むことも出来ようて」
今さらオレを誤魔化そうったって、そうはいかない。
むらおさに追い出されたというじいちゃんの話を、オレはしっかり覚えてる。
そのむらおさがポワンだっていうのも、しっかり調べて突き止めた。
そんなヤツが偉ぶってる村に、今さら頼まれたって、住んでなんかやるもんか!
考えを曲げようとしないオレに、じいちゃんはそのあとも何度も言い聞かせようとしてきたが、オレはどうすればポワンと妖精のヤツらに思い知らせてやれるか。それだけ、考えていた。
そんな、ある日。
あのひとに、会った。
美しい、ひとだった。
村のいけ好かない妖精のヤツらとも、ドワーフの女のひととも違う、銀色の髪と瞳、白い肌の。
妖精のヤツらが、オレが近くを通るとイヤな顔をしやがるみたいに、オレを近づかせたがらないようで。
それでいて、寂しそうな。
雪の上にひとりで立っていたそのひとに、声をかけようか、イヤな顔をされるんじゃないかとまごついてるオレに、そのひとのほうから声をかけてきた。
「……私は、雪の女王」
女王様ってのは、聞いたことがある。
村のドワーフの大人がものを知らないオレに、話して聞かせてくれた。
世界のどこかには、王様とか女王様とかいう、偉いひとがいるらしい。
きれいな服を着て、城っていうきれいな建物で暮らしてる、国っていう大きなところで一番偉い、生まれつきの特別なひとたち。
あんな村なんかで偉ぶってるむらおさのポワンなんかとは、きっとものが違うんだ。
それなら、村のヤツらなんかとは違ってあたりまえだ。
そんなことを思い出して納得するオ
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