第一話「海堂蒼蓮が異世界にinしました」
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「そのびょーいんが誰だか知らんが、俺なら大丈夫だ。疾く降ろせ」
再度重ねて言うが、少女は頑固として頷かなかった。俺の言にここまで頑なに拒むとは……ここまでの気骨を見せる若者がまだいるとは。正直、驚いた。
昨今の大和の民は俺の言に忠実――悪く言えば異を挟まんからつまらんのだ。どいつもこいつも腰を低くして頭を下げる。まるで神に対するかのような対応だ。俺も大和の民だと言うのに嘆かわしいものだ……。
それに比べてこの少女はどうだ? 見た目からして齢八かそこらか……。まだ幼いながらもしっかりと己の意志を持っている。それはこの目を見れば一目瞭然だ。
天皇も最近は俺に媚びへつらうのに、まったく……少しはこの少女を見習ってほしいものだ。大和の民として誇らしいぞ。
――この者の名なら覚えてもよいだろう。
「……少女よ、名はなんと申す?」
「私? 私の名前はシャルロット・オルレアンだよ!」
「しゃ、しゃるろーと? ……随分と変わった名だな」
「むー、変わった名前だなんて失礼だよ! そういう君はなんていうの?」
ふむ、確かに初対面でこの言は礼を失するな。礼なぞ俺にとっては取るに足らんが、この少女にたいする言ではないのは確か。
「あい、すまぬ。俺の名は――」
この出会いが、後の因果の輪を狂わせるとは、この時の俺は思ってもみなかった。
「……蒼蓮。海堂蒼蓮だ」
――取りあえず、しゃるろーとよ。薬師はいいからどこか休める場所に案内してはくれぬか? えっ、ダメ?
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