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海堂蒼蓮がISの世界にinしました。
第一話「海堂蒼蓮が異世界にinしました」
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んでいるかのよう――。


 そこまで思い至って、私は慌てて彼の側に駆け寄り脈をとった。


「――よかった、生きてる!」


 弱々しいが確かな脈動を返している。


 ――新しく買ったワンピースが彼の血で汚れちゃうけど、今は人命第一!


 急いで病院に運ぶため、彼を背負い山を降りる。まるで男性が覆いかぶさっているかのような格好だけど、これは身長差があるため仕方ない。


 よろよろとした覚束ない足取りで、私は一歩一歩大地を踏みしめるように歩き出した。





   †                    †                    †





 ゆらゆらと揺れる感覚に意識が徐々に浮上する。


 嗅ぎ覚えのない匂いが鼻孔を擽る。なにかの花だろうか? 心を和らがせるような心地よい匂いだ。


 ゆらゆら、ゆらゆら。


 ――待て、俺はいま、どういう状況にいる……? そもそも、俺になにがあった?


 記憶を手繰る。脳みそに刻み込まれている記憶の中で最も新しいものといえば――。


 ――ああ、そうだ。確か、リプナールに一杯食わされて、それで……それで?


 だめだ、この先は思い出せない。恐らくあの穴に落ちたところで意識を失ったのだろう。俺としたことが、なんという失態を……っ。


 取りあえずアイツ、再び顔を合わせたら今度は因果の彼方までぶっ飛ばしてやる!


 ――それはさておき、俺は今どういう状況にいる? ……んで、このゆらゆらはなんぞ?


 気だるい目蓋を意志の力でこじ開ける。


 視界に映ったのは――眩いばかりの黄金だった。


「……だれぞ?」


「――っ! 気が付いた?」


 黄金が振り返る。


 黄金は……どうやら髪の色らしい。変わった色だ。大和の民にしては見慣れない顔つきをしている。


「きみ、酷い怪我なんだよ! いま病院に連れて行くから、もう少しの辛抱だからね!」


「……びょーいん?」


 聞き慣れない単語が飛ぶが、少女は俺の身体を心配してくれているらしい。必死の形相――とまではいかないが、切羽詰った気配を見せている。


 その、びょーいんとやらは誰か知らんが、恐らく薬師かなにかか……。


 自分の身体を見下ろそうとして、身体が動かないことに気が付いた。ついでに俺が少女に背負われているということにも遅まきながら気が付く。


 ――取りあえず、この状況は大和男児として受け入れがたい……。


「……少女よ、疾く降ろせ」


「なにを言ってるのっ、そんなの出来るわけないよ! 早く病院に連れていかないと!」
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