カストロプ公国建国式典
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達は同盟内部でも圧力団体として働いており、同盟支社であるルナホールディングスは同盟議会にオブザーバー席を与えられるぐらい関係が深かったりする。
「おや、こんな所で730年マフィア最後のお気に入りに出会えるとは」
こちらの会話を聞いた訳ではないだろうが、ルナホールディングス代表取締役であるアルマン・ド・ヴィリエ氏がこちらに声をかける。
帝国貴族出身だが、やり手の彼によってルナホールディングスは同盟経済連合会の会長をつとめている。
「そのあだ名止めていただけませんかね。
よばれるだけの功績を立てていないただの中佐ですよ。私は」
苦虫をかみ下した顔でヤンがぼやくが、ヴィリエ氏は笑顔とその声色で今度はヤンを持ち上げる。
この職になっていなかったらきっと大主教にでもなっていただろう。
「人に認められる、選ばれるというのは才能でもあるのです。
その人が芽を出すかどうかは別にして、芽を出すように支援するのは選んだ人の特権であり義務なのですよ。
そのぼやきは墓場の下にいる、730年マフィアに言っておあげなさい。
多分、苦笑するのみで終わるでしょうから」
更に苦虫顔になるヤンにたまらずベンドリング中佐が吹き出す。
場が一度和んだ所で、ヴィリエ氏が本題を切り出した。
「少しご相談があるのですが、貴国にうちの会社を設立したいのですが、合弁という形で」
「うちを噛ませるという事は分け前は頂けるのでしょうが、何のご商売で?」
「辺境星系支援と開発業務を」
「……帝国の難民問題ですね。
わが国に一千万の難民を受け入れられませんよ」
ヤンが感じるほどに二人の間の空気が変わる。
表情は穏やかなのに、互いに笑顔なのに、その間を流れる会話だけが底暗く、冷たい。
「市場を通じて同盟政府は百万人の難民支援を決定しました。
帝国の労働市場からフェザーン経由で購入という形になるのでしょうが、その業務はわが社に委託されています。
他星系に既に八十五万人振り分けました。
貴国には十五万人を受け入れていただけたらと」
「それを受け入れるわが国のメリットは?」
「同盟最新鋭戦艦を含む、艦船供与」
蚊帳の外に追いやられたヤンを尻目に、二人の男は手をがっちりと握る。
「これからも良いお付き合いを」
「細かい所は、実務者協議にて。
では、ヤン中佐。失礼」
その後、ヤンがこの会話を思い出すのは、この狸の皮算用が外れたからに他ならない。
現在の彼は新型巡航艦ラトの艦橋にて、あの式典にも参加していた副官からの報告に耳を傾けていたのだから。
「間違いありません。
イゼルローン回廊内、帝国軍の要塞を確認。
該当データを照合した結果、レンテンベルク要塞と一
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