カストロプ公国建国式典
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には続きがあるのだから。
行政再建のめどがついたミューゼル男爵達に今度はさっきあげた難民問題が降りかかったのだ。
コーディネーター系貴族による領民追放問題で発生した難民数はおよそ一千万人。
多くの領地で受け入れを拒否されるなか、ミューゼル男爵は受け入れ拒否をついに出さず、そのほとんどを受け入れる羽目になった。
それは、再建途上だった行政だけでなく、財政までも破綻寸前に追い込み、彼は帝都にてその金策に奔走していたのである。
その秀麗な容姿がフェザーンの銀行家に頭を下げ、他の貴族に支援を求めてにべもなく断られと、フレーゲル男爵の成功と対比して語られていた。
「成功すれば、一千万の領民は彼に忠誠を誓うでしょう。
そこから兵になる連中はきっと彼の忠実な精兵になるのでしょうが、それを養う資金が無い」
「彼が今だ破綻しないのは、帝国政府が支援しているとか。
彼が引き取った一千万の難民の行き先などありませんからな。
ブラウンシュバイク公もフレーゲル男爵の成功を引き立てる為に、成功しない程度の支援をしているとか」
帝国貴族社会はかくも陰湿なのであった。
それに資本主義が絡むとどうなるか?
最悪である。
莫大な債務を抱える帝国政府。
社会保障は行き詰まり、治安が悪化し、貴族という不良債権。
効率を求めた官僚制度は硬直化し、政府の行動力は速度も力も国民を満足させられるものではなくなっていた。
「シスターズの娘達ですか。
地球出身の企業連合の末裔が大手を振ってこの場に出てきているあたり世も末ですな。ヤン中佐」
「それを言われると耳が痛いですな」
宇宙はあまりにも広く広大である。
その為、星系間で商売をする場合、いやでも最低限の武力を持っていないと話にならない。
そして、辺境部の開発は莫大な資本が必要になる割には、資金回収に時間がかかる。
このような割の合わない開発業務を請け負える企業なんて、同盟帝国フェザーンの中を探してもそんなにはないのである。
利益の追求の為に企業はカルテルを組み、市場を目指して同盟と帝国の間を暗躍していた。
フェザーンは本来そのためにあるのだが、帝国の恨みを買いすぎており、彼らは新たな巣を探していたのである。
ベンドリング中佐の言ったシスターズの娘達とは、地球統一政府を支えた金融・物流企業の連合体であり、地球の滅亡とシリウス政府の崩壊と混乱の中、分裂しながらも生き延びてフェザーンに根を下ろした地球教の表の顔である。
人形師はその政権時代にフェザーンとの合同事業をいくつも起こしていたが、その事業請負先が彼女らシスターズの娘達、マーキュリー資源開発・マーズ物流・ジュピター金融ホールディングス・ヴィーナスメディアだったのである。
彼女
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