カストロプ公国建国式典
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帝国上流階級が政争に敗れてフェザーンの地に流れていったが、彼らとカストロプの違いは一つしかない。
亡命者は身一つで流れたのに対して、カストロプ公爵となるエリザベート嬢は全てを持ち出してこの地に逃れてきたのだ。
国家の最低条件は領土と国民と武力、そして他国の承認である。
艦船乗員および帝国からの亡命者の受け入れによって国民を構成し、武力は戦隊規模と過去の亡命者の中でも群を抜いている。
そして領土だが、カストロプ公爵はフェザーン所有の完成寸前のコロニーを購入して領土とする事で国家を作り出したのである。
宇宙は無限に広がっており、領土なんてものは作ろうと思えばいくらでも作れるのだ。
何よりも、カストロプ公国を同盟もフェザーンも望んでいたのである。
「とはいえ、仕事から艦隊の一部はこの惑星ウルヴァシーに駐留する事になりますがね。
コロニー内の館の整備が住むまでは、公爵様にはイズン暮らしを強いてしまうのが心苦しくて」
カストロプ公国の産業は物流と投資業務によって支えられる事になっている。
物流は艦隊を使ったフェザーンの傭兵家業と運送であり、投資は前カストロプ公がフェザーンに隠していた莫大な隠し財産の運営である。
とはいえ、国と艦隊を維持するには莫大な金がかかるので、最低限の国民でスタートするあたり無能ではないのだろう。
何しろ、フェザーンの傭兵達は多くが帝国内戦に参加して敗北し帰ってこなかったのだから。
「しばらくは景気のいい話が続くんでしょうな。
フェザーンから帝国に出て行った傭兵・海賊連中の大部分が未だ未帰還でしたっけ?」
「ええ。
彼らが宇宙の塵に消える所を私と公爵様は見ていますから」
「ああ。
フェザーン傭兵軍を叩き潰したのがグリンメルスハウゼン提督でしたか」
帝国内戦の終結時、隻数にして三個艦隊近い傭兵を送り出していたフェザーンはそのほとんどを失って大パニックに陥った。
フェザーン正規軍二個艦隊と大規模攻撃衛星でフェザーン本星は守られてはいたが、帝国政府との交渉は終始劣勢でフェザーンが持つ帝国債務の一部放棄を飲まされるなど外交的に苦しんでいたのである。
なお、同盟政府はフェザーンに対して鹵獲した帝国艦船の有償譲渡や、旧式艦船の売却等でフェザーンが著しい不利にならないように配慮していたり。
これら同盟とフェザーンの外交関係の成果がこのカストロプ公国である。
フェザーンは彼女が持つ武力を取り込んで戦力再編と同盟との外交的緩衝地帯を欲したし、同盟も帝国崩壊の為のモデルケースと政治的プロパガンダを求めた。
だからこそ、外交儀礼は全て帝国式になっていたりする。
フェザーンは帝国の自治領だし、帝国崩壊後にできる国家エリート層は帝国貴族が担うだろうからだ。
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