第23話
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だが。
それでも大和は悔しくて仕方が無かった。もしも彼の作戦通りだったなら、いきなりの奇襲で旗を折られるという事も無かったはずなのだから。
「何だとぉ!?」
それと同じ頃、自分たちの敗北に対して驚愕の声を上げていたのは項羽である。
目の前にいる劉邦とマントマンは既になんとか立っている状態であり、あともうちょっとで彼らを倒して旗を倒せるという状況だった。
そんな項羽の顔を見て、劉邦はぼろぼろの状態で笑みを浮かべる。
「俺たちの勝ちみたいだな」
「うぐぐ……」
「よっしゃあ! みんな、勝どきをあげろ!」
自分たちの大将の声にえいえいおー、と声を上げる劉邦軍。
そんな彼らとは正反対に、覇王軍の様子はかなり暗かった。負けたからなのは当然であるが、項羽が作戦を無視しなければ勝てたんじゃないかと思えてしまうのが問題だった。
更に問題なのは、項羽がそれを反省しようともしていない点だった。
「もうちょっとお前たちが守れていれば勝てたのだ。俺は悪くないぞ」
「しかし……」
「くどいぞ! だいたい、俺の性格に合わせて作戦を立てるのがお前の役目だろう!」
そんな項羽と軍師である大和の会話は、劉邦軍だけでなく他の全軍にも聞こえていた。
そんな明らかに危ない行為をしている彼らを見て劉邦がため息をついていると、副将である福本育郎が話しかけてきた。
ちなみに福本自身には戦闘力が無いので後ろに下がっていたが、地味に奇襲する合図などを出していたりする。
「どうしたんだ大将?」
「ん……いや、こうして劉邦軍として項羽軍に勝った以上、他の軍に危険視される可能性が上がったなと」
「げっ、引抜とかされたらやべーんじゃないんすか?」
「流石に俺たちの軍にいた方が勝てると思われてる間は大丈夫だろう。それに、今回勝った事で逆に他の生徒を引き込みやすくなったわけだからな」
「なるほど」
今回の戦いにより、『劉邦軍はただのイロモノではない』と全軍に知れ渡った。流石にピンポイントで狙われるという事はまだ無いだろうが、注意は必要だ。
しかし、何はともあれ勝利である。
「よし、とりあえず戦勝祝いで宴会といくか!」
「さすが大将! みんなに伝えてくるぜ!」
「頼んだぞ」
ダッシュで宴会の知らせをしにいった福本を見送り、劉邦は笑みを浮かべた。
項羽の事を結構心配しつつも、彼女に対して勝利を得る事ができたということが嬉しくてたまらない劉邦であった。
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