第23話
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所である人物が動き出していた。
劉邦軍の助っ人、元武道四天王である橘天衣である。
彼女は、防御を固めつつも前衛であるクリスの援護をしている覇王軍の本陣へと突っ込もうとしていた。
「項羽の存在が無い今なら……!」
そう呟き、常人では捕らえられないスピードで彼女は走り出した。
今でこそ武道四天王の座を剥奪され、その名を地に落としている橘天衣だが、西で松永燕が台頭するまではその圧倒的速度によって猛威を振るっていたのだ。
その実力は確かなものであり、彼女に奇襲を任せた劉邦の判断は間違ってはいない。
「橘さんか……旗狙いだな! 近づけさせるな!」
「了解、大和!」
「美しき弓の一斉射撃を喰らえ!」
だが覇王軍の反応も素早かった。
世界中から弓の腕前が高い事で選ばれた天下五弓。その内、椎名京と毛利元親を擁している覇王軍は、彼らを前衛の援護と本陣の防衛に当てていた。
そんな彼らの率いる弓部隊の一斉射撃が、軍師・大和の指示によって橘天衣へと放たれたのだ。
「これでも私は元武道四天王だ。あまり舐めないでもらおうか」
そう言う橘天衣は、更に加速する事によって第一射が着弾する前にその着弾地点を追い越し、宙へと跳び上がった。
更に放たれた第二射を蹴りを放つ事によって発生させた衝撃波で叩き落し、どんどん旗へと近づいていく。
「これで終わりだ! 神風強蹴撃!」
「間に合えっ、クッキーパトリオット!」
覇王軍の旗にある程度近づいた天衣はそこから急カーブを描き、急降下しながらの蹴りを放った。
あっという間にすぐ目の前まで迫り来るそれに、本来項羽がするはずだった旗の防衛を任されていたクッキーは無数の突きを放ったのだが……
「止まって見えるぞ!」
クッキーの迎撃は間に合わなかった。
放たれた無数の突きの合間を一瞬で通り抜け、橘天衣は覇王軍の本陣に設置されていた旗を蹴り折っていた。
そして審判が勝敗を告げる。
「決着! 覇王軍の旗が倒されたため、劉邦軍の勝利となります!
その声を聞いて、直江大和はぐっと歯を噛み締めた。
大和たちと風間ファミリーの全員は前に一度橘天衣の戦うところを見た事があったのだ。
それは彼女の四肢がミサイルやマシンガンを仕込んだサイボーグ戦士みたいになっていた時であり、川神百代を一時はかなり追い込むほどのものだったが、九鬼に引き取られた後はそれを取っ払って面倒を見られていると聞いていたのだ。
それでも元武道四天王であり、その強さは確かなものであるとわかっていたのだが……その強さは彼の想像を超えていた。
もっとも、今現在の彼女から『不幸属性』がなくなっていて、また落ちた名を再び高める機会に普段以上の力が出ているのも確かなの
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