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真剣で覇王に恋しなさい!
第22話
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 そんな感じに試合を終えた生徒たちや観客たちが騒ぎ立てる中、覇王軍と劉邦軍は互いの配置につく。
 さっきまで実況をしていたクッキーは覇王軍の一員であるため、実況役はスイスイ号へと変化していた。自転車が実況をするというのも妙な話である。

「さて、覇王軍対劉邦軍が始まります。百代さんはどう思いますか?」

「私は清楚ちゃんと戦ったからわかるが、清楚ちゃんには生半可な実力じゃあ絶対に勝てない」

 スイスイ号に聞かれて、解説の川神百代は自分の考えを述べていた。
 一度遠くまで殴り飛ばされただけあって説得力のある発言である。

「だから、何故か劉邦軍に加わっている橘さんの事を考えても、勝つのは覇王軍だとは思うが……」

「何か懸案事項が?」

 橘天衣。劉邦がスカウトした元武道四天王。銀髪の美女であり、また不幸体質の持ち主でもある。
 その実力は確かなものだが、項羽の存在を考えればそれでもまだ覇王軍が有利だ。
 しかし百代はそう断定するには早計だと言う。

「助っ人枠のマントマンもそうだし、なにより赤戸がどれくらいの力を持っているかさっぱりわからん。劉邦って強いイメージないだろ?」

「確かにその通りですね。さて、準備もできたようですのでいよいよ開戦といきましょう!」

 スイスイ号がそう言って会話を終了し、百代も既に戦いの準備を終えている両軍へと目を向ける。
 そして、戦いを告げるホラ貝が鳴った。

「よーし突撃開始だっ! 俺に続けぇーっ!」

 そう言って突出したのは大将である項羽。
 どうやら軍師である直江大和が立てた作戦を無視し、勝手に突撃を開始したようだ。きっと前の試合を見て我慢ができなかったんだろう。
 しかし、その独断に合わせてすぐに対応しようとしている大和の手腕は見事なものである。

「だいたいだな、しばらく前から気になってたんだよ!」

 意味のわからない事を言いながら劉邦軍からも突出したのは、もちろん劉邦だった。
 大将が倒れてもルール的には判定勝ちの際くらいにしか関係ないが、実際は士気がガタ落ちしてしまうだろう。
 劉邦はそんな事も考えられないほどの猪ではない。何かしらの考えがあるようだ。
 更に言葉を続けながら、劉邦は突進する項羽に駆けていく。

「なんで劉邦が勝ったのに『項羽と劉邦』なんだよ『劉邦と項羽』にしやがれってなぁ!」

「俺の知った事かぁっ!」

「そりゃそうだっ!」

 項羽に振るわれた方天画戟をすんでの所で土下座するような姿勢で避けた劉邦。
 しかしその手に武器は無い。今日の劉邦は青龍偃月刀を持ってきてはいなかった。
 しかし、それでいいのだ。
 元から劉邦は項羽に勝つつもりなんてなかったのだから。

「まずはお前からだ
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