第21話
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さて、模擬戦まであと僅かとなった川神学園だが、無視する事のできない行事が一つある。
模擬戦以上に大きく成績に関わってくる、期末考査の存在だ。
最もみんな今回ばかりは模擬戦に目がいってしまって力を入れにくいだろうが……それでも重要な事には変わりない。
川神学園は元よりこういう試験の数が少なく、その分だけ一度の試験が持つ重要性が高い。中でもSクラスの人間は、学年で50位以内を保たなければ他のクラスに移されてしまう。
今回クローンである五人はSクラスであり、九鬼の面子を守るためにも50位以内に入れるように努力しなければならない。
特に弁慶は川神水を飲む条件として挙げた3位以内に入らなければならないが、ああ見えて頭のいい彼女なら何とかなるだろう。
問題は、性格がガラリと変わってしまった柳司と清楚の事である。
『よう、ずっと避けられてたみたいだから電話してみたぜ』
「……何の用だ」
期末考査の数日くらい前。
項羽の持つ携帯電話に劉邦からの電話がかかってきた。
『いや、期末考査あるから勝負しようぜ。もちろん順位で』
「何? どうしてこの俺がそんな申し出を受けなければならんのだ! ふざけるな!」
『えー、王様なのに逃げるのかよ。王様なのになぁ、やっぱ馬鹿だからか?』
「馬鹿は貴様だ! いいだろう! そこまで言うならその勝負、受けてやろうではないか!」
ちょろいと思ってはいけない。
なぜなら彼女は王様である。
逃げる事は許されないのだ。たぶん。
『よぅし! それじゃあ模擬戦の前哨戦みたいな感じでな。俺が勝ったらどうする?』
「貴様が勝つ可能性など万に一つもありえん!」
『オーケーオーケー、それじゃあ俺が勝ったら何か一つお願いを聞いてもらうぜ?』
「勝てたらの話だ! ありえんだろうがな!」
たぶんきっと、彼女には勝つ自信があるのだろう。
項羽と劉邦、お世辞にもどちらも頭がいいというイメージは無いが、睡眠学習の間に蓄積している学問は清楚の方が多かった。
柳司は清楚に追いつくために普通の勉強もしていたのだが、専門的な知識も色々と漁っていた分だけ差があったのだ。
つまり、現在の項羽と劉邦のテストに対する知識は、睡眠学習の質によって項羽が勝っている……故に負ける事などありえない。
最も、『その時点では』の話だったのだが。
「な、なぜだ……」
「ふふん。勝てるとタカをくくったのが間違いだったな、清楚?」
「うぐぐ……!!」
だが、もしも劉邦が目覚めた後も勉強を続けていたのであれば、話は別である。
なにしろ項羽は目覚めてからは勉強なんて一切しておらず、それまでの貯金のみで勝負したのだから。
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