第21話
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それまでの貯金で負けていた劉邦でも、彼がしっかりと勝てるように勉強したのなら負けるはずが無いのである。
「汚いぞ貴様ァ!」
「何が汚いんだ? ほらほら言ってみろよ清楚ちゃんよ。俺はちょっとばかり勉強しただけだぜ?」
「だが! しかし……ぬぅぅぅ!」
反論できない項羽の前で、にやつく笑顔を抑えられない劉邦。
負けた事を項羽が認めていて、だからこそ彼女は手が出せないとわかりきっているからこその余裕だった。
そしてそのにやけ顔のまま項羽に言った。
「なんだっけ? 確か約束したよな。俺が勝った場合は――」
「うるさい! 貴様に言われなくてもわかっている! さぁ何でも言ってみるがいい! ただし変な事を言ったらその後は覚悟してもらうぞ!」
「おぉ、こわいこわい。でもま、そうだな……じゃあ俺とデートをしてもらおうか」
「……なんだって?」
何がじゃあなのか、この前フラれたとか迷っているとか言っていたのはなんだったのか。そもそも初めからその為に勝負をもちかけたのか。
色々な疑問が項羽の頭の中をよぎり、そして結局わけがわからずにもう一度聞き返してしまう。
そんな彼女に再び劉邦は言う。
「だからこそのデートだよ。だってほら、俺たちは葉桜清楚と赤戸柳司だが、項羽と劉邦としては互いを知らなすぎる。一目惚れだけで終わらせたくないから、デートをして親睦を深めたいのさ」
「おい、まるで意味がわからんぞ」
「ま、短く言うなら仲良くしようぜって事だ。軽い買い物と食事に付き合って、ついでに映画に付き合ってくれ」
「……約束だからな。従ってやる」
「さすがは覇王様だ。じゃ、さっそく行くか」
そう言うなり劉邦に手を掴まれて引っぱられ、驚いた項羽は劉邦に言う。
「おいちょっと待て! 今から行くのか!?」
「善は急げさ。かわいい服を着てくれるって言うならもちろん歓迎だが、清楚は今のままでも十分に魅力的だ、何の問題も無い」
「な、何を……勝手な!」
怒る態度を見せながらも、手を引かれた彼女はそれに身を任せて劉邦についていく。
それが約束だから仕方ないのかもしれないが、本当に嫌だとすればいくら約束とはいえ彼女は決して従わないだろう。
少なくとも、劉邦として敵と認められているとはいえ、柳司として嫌われているわけではないのだった。
同時刻、九鬼の極東本部にある赤戸柳司の自室にて。
劉邦が置いていった携帯電話の着信音が鳴り、それを部屋の中にいる誰かが取った。
「はいもしもし」
『あれ? 間違えちまったかな? これって劉邦の大将の携帯であってます?』
「えぇ、あってますよ。福本育郎さんですね」
電話をかけ
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