第20話
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な事が起こった試しの無い劉邦である。
「ふむ……」
とりあえず自分も試してみようと財布を取り出した劉邦は、同じように500円玉を自動販売機に投入した。
そしてボタンを押すと普通にコーヒーが出てきた。
380円分の小銭を回収しながら劉邦は女性に話しかける。
「別に壊れてないぞ」
「何……だと……!?」
驚愕の表情で立ち直ったその女性は、すぐに自動販売機に張り付いた。
かといってその女性が投入した500円玉が戻ってくるわけでもなく、彼女は打ちひしがれて今度はその場に膝を着いてしまった。
「あぁ……私だからなのか……やっぱりな……」
「おい、妙に納得して膝を突くな。しっかりしろ」
「仕方が無いだろう……だって……」
「ジュースが飲みたいなら自動販売機を見ろ。スロット付きだろ? どうせ『当たり』が出る」
まるで当たる事が確定しているかのような発言に、自動販売機の方を見る女性。
そして、自動販売機についているスロットに三つの7が揃っているのを見て目を見開いた。
急いでその場から立ち上がると、女性は劉邦に話しかけた。
「ど、どどどど、どうやった!?」
「落ち着け、単純に俺がツイてるからとしか言えんぞ。あと、俺はこれで十分だから飲んでくれて構わないぞ」
「あぁ、すまない……本当にいいのか?」
「別にいいさ。気にするな」
劉邦は銀髪の女性に軽く手を振り、さっさと選ぶように催促をした。
それに従うようにしてボタンを押し、出てきた缶ジュースを見て喜んでいる女性。
それを見て、劉邦は笑いながら話しかけた。
「本当に苦労してきたみたいだな。その様子を見ると」
「まぁ、な。君が羨ましいな、私はこんなもの当たった事がない。今日のようにトラブルばかりが起きるんだ」
「……そうか」
そこで会話が途切れた。
それでもその場を去らない理由に、劉邦が基本他人を放っておけないタイプだからというのがある。
彼は銀髪の女性を見て、こういうのを放っておくのはどうなんだろうと思ったのだ。
それに気になる所もある。
女性の手足から普通と異なる感じがする事や、現在の川神に居て体が疼くという発言をした事など。
劉邦から見て、とても面白く興味の引かれる女性だった。
「ところで、俺は赤戸柳司という。あんたが川神に来た原因である模擬戦では劉邦軍の大将を勤めてるんだ」
「……え?」
呆気にとられた顔で劉邦を見るその女性に手を差し伸べながら、劉邦は笑顔で語りかける。
「もしよければ助っ人枠で参加してみないか? もし参加してくれるなら……その不幸体質をなんとかしてみようと思うんだが」
返答は如何に?
そう問うた劉邦に
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