第三部 王の帰還
第16話
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そう言うからにはそうなのだろう。
そしてマープルは、一通の便箋を手渡してきた。
「これは?」
「キーワードだよ。あたしが読んでも意味が無いからね。こういうものは自分で読まないと」
その言葉に大人しく従い、そこに書かれている文字に目を落とす。
そして一番最初に目に入った文字を、ゆっくりと読み上げた。
「大風の歌……」
全てがつながった。
強化するイメージの際に頭に思い浮かぶのが赤い龍だったのも。
修行の際に、ヒュームさんにアドバイスされた才能についての事も。
俺の正体がそれであるのなら納得がいく。
「大風、起きて……雲……飛揚す……」
口が止まらない。
体が勝手に動き出す感覚。
これが、目覚めか。
「威は……海内に、加わりて……故クに、歸る……」
激しい頭痛だ。
もう立っていられない。
いや、もう倒れているのかもしれない。
感覚が……途切れる……
「安くにか……猛士を得て……四方を、守らし……めん!」
「……ふぁーあ、十数年間もずーっと寝てたから首がガッチガチだなオイ」
実際はそうでもないけど感覚的にな? 思いっきり体を動かしたい感覚に駆られる的な。
……あ、でも項羽の馬鹿みたいに暴れるのはやめとこう。
あいつの真似するみたいでなんかムカつくしな。
「お目覚めかい?」
「あぁ。気分は超いいぜ? なんか結構体も鍛えられてるみたいだし」
睡眠学習してるのおかげか、元々がそんなに高くない戦闘適正は限界値まで鍛えてあった。
項羽相手に指先一つでダウンさせられなかったのはこれのおかげだったのね。納得納得。
「ところで、名前を聞いてもいいかい?」
「知っている事を聞くとは酔狂な奴だなぁ。まぁいいけど」
俺が表に出てる間にマープルに挨拶した事なんて一回も無かったからな。
改めて、自己紹介だ。
「俺は赤戸柳司。劉邦だ」
それじゃマープル、今後ともよろしく。
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