第14話
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を開発していた九鬼の第七開発班所属の津軽海経に。
津軽との繋がりが多少なりとも存在しなければ、協力を依頼する事はできなかっただろう。
話し合った際、こっそり一体だけ社会体験させてやれると津軽が考えてくれなければ、実現は不可能だっただろう。
AIをバイクに積む際、娘の為にと言って津軽が更なる改良を施さなければ、こうして今日に備える事はできなかっただろう。
そうして『とある機体』のAIを積む事で完成したバイクは、彼が元々考えていた用途とは異なる方向への使い道になってしまったが、それでも彼は満足していた。
「とにかく、まずはスイスイ号と清楚を追う。追跡は?」
「…………」
「おい、協力してくれ。でないと色々とマズイ事になるんだ」
「それって私がお父様に命令されて嫌々やってる事わかって言ってますぅ?」
「なら余計に従ってくれ。それに……そうだな」
ニヤリと似合わない笑みを浮かべた柳司は、馬鹿にするような口調で『彼女』に告げる。
「王様を名乗って偉そうにしている人間を放っておくのは良くないと思うぞ? 指導……いや、矯正してやるべきじゃないのか?」
安っぽい挑発の言葉。
普通なら乗るはずがないのだが、柳司は彼女がまだ人型だった頃にその性格を把握していた。
しばらくの沈黙の後、自信に溢れた声がバイクから上がる。
「……いいでしょう! 本っ当に仕方なくですけど、あなたを仮のマイスターと認めます! 追跡はもちろん可能です!」
「さすが津軽さん特製だ。性能が違うな」
「当然です!」
腰に手を当てて偉ぶる姿が幻視されるような声。
柳司がそれを想像して苦笑していると、横合いから友人の声がかかった。
「葉桜君を追うのか、赤戸君」
「あぁ。応援してくれるのか?」
そこにいたのは柳司の友人でもある京極彦一だった。
彼も先ほどまで周囲の生徒達と一緒に見物に回っていたようだが、ついに学園から出て行こうとしている友人を見て話しかけてきたようだ。
「さて、私は二人共の友人だからね。どちらかを応援するという事はしたくない。それに、喧嘩をするというわけではないのだろう?」
「当然だ。俺は清楚の敵にはならない。寝ぼけて」
「寝ぼけて、か……ふっ、それでこそ赤戸君だ」
「なんだよ」
「なんでもないさ。さぁ、葉桜君の下に行ってくるといい」
穏やかな笑顔の京極に見送られ、柳司は学園の外へと飛び出した。
向かう先は学園から少し離れた工事中の高速道路。
更に加速するバイクに身を預ける柳司の身体からは、うっすらと紅いオーラが漂いだしていた。
「よし、いくぞレッドW! 俺の愛機!」
「ちがーう! 私はそんな名前じゃなーい!
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