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真剣で覇王に恋しなさい!
第11話
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 結構真面目な質問だったから、ちゃんとした答えを返してほしかったのだ。
 流石に、今でも武将みたいなイメージをもたれてるとは思いたくないし。

「まぁ、何にせよだ」

 話を中断するようにそう言って、柳司くんは私の手を取った。
 いきなりの事に私がビックリしている内に、彼は再び口を開く。

「何度も言っているが何も心配する事はない、俺はお前がどんな奴だったとしても変わらず接する。それでいいだろう?」

 いつも通りの口調で、いつも通りの笑顔で、柳司くんは私にそう告げた。
 本当、ずるいよね。
 それで安心したような気がしてる私も私なんだけど。

「じゃあ、私も」

「え?」

「柳司くんの正体がなんでもない人だったとしても、平清盛みたいな人だったとしても、ちゃんと今までどおりに接してあげる」

「……なんか言い方が酷くないか?」

「あはは、気のせいだよー」

 うん、すっきりした。
 ちょっと不安だったけど、やっぱり楽しみになってきた。
 早く明日にならないかな。






 そうして、月曜日の放課後。
 私は、川神学園の校舎の屋上で、風間ファミリーのみんなと向き会っていた。
 教えるだけなら一人でもいいのに、全員がいる事に少しだけ違和感はある。
 それでも今は、興奮する気持ちが勝った。

「それで……誰だと思うの……?」

 高鳴る胸の鼓動を感じながら、風間くんたちに問いかける。

「どんな正体でも気にしないっスね? 言ってもいいんスね?」

 そう聞いてくる風間くんに頷きを返しながらも、思わず小声で呟いてしまう。

「あぁ……緊張してきた……清少納言かな? 紫式部かな? 紀貫之は性別違うけど義経ちゃんの例もあるし……」

 私の言葉に対して、立ち並ぶ風間ファミリーの皆の顔が曇っていくのが無性に気になった。
 だから不安を断ち切るように、押さえ込むように。
 私は喋り続けようとした。でも。

「葉桜先輩は、項羽です」

 風間くんは、私の言葉を遮ってそう告げた。
 最初は理解ができなかった。
 だから、思わず聞き返してしまう。

「え? コウウ? その……ごめんね、もう一回言ってもらってもいい?」

「項羽です。それが俺達の出した結論です」

「……コウウなんて文化人、いたかな? あはは、勉強が足りなくてごめんね。調べてみても、中国の項羽さんしか出てこないんだけど……」

「うん。だから清楚ちゃん、その項羽なんだ」

 風間くんとモモちゃんにそう言われ、私は混乱しながら問い返すことしかできない。
 私の、どこが項羽なのかと。

「先輩は本当に自分の正体を知りたがっていました。だから俺達も全力で調べて、その結論を報告
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