第二部 自分探し
第9話
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、何かあったのかもしれない。
でもこの様子だと、たぶん答えてくれないかな。
『大丈夫ですか、清楚。何か悩んでいるようですが』
登校中、スイスイ号が小さな声で私に話しかけてきた。
私が悩んでいる事を感知して、気にしてくれているみたい。
柳司くんに心配掛けないように気を付けて、私も小声でスイスイ号に話しかけた。
「大丈夫だよ。でも、私自身の事とか、柳司くんの事とか、考え始めたら頭がいっぱいになっちゃって」
『私にはその答えを出すことはできませんが、口に出すことで悩みが緩和されるのであれば是非言ってください』
「ありがとね、スイスイ号」
『いえいえ。それで清楚が気分良く通学できるのならばお安い御用です』
その後もこっそりスイスイ号と話しながら学校へと向かった。
おかげで気分はずっとよくなった気がする。
……でも、柳司くんの様子はおかしなままだった。
学校に着いてもそれは変わらない。
でも、お友達と話したりする時には普段通りみたいだから、私が少し気にしすぎてるだけなのかな……?
「どうかしたのかな? 葉桜君、随分と赤戸君の方を気にしているようだが」
休み時間、読んでいた本から目を外して柳司くんの方に目を向けていたからか、いつの間にか近寄くに来ていた京極くんにそんな事を言われてしまった。
「そこまでわかりやすかったかな?」
「うむ。気付かないのはどこか空ろな赤戸君と葉桜君自身だけではないかな」
「……そんなに?」
「嘘は言わんよ」
そう言われて周りを見てみると、京極くんの言った事を聞いていたらしいクラスメイトたちが同意するように頷いていて、私は自分の頬が熱くなるのを感じた。
そして思わず俯いた私に、京極くんは言った。
「確かに今日の彼はどこか違和感を感じるが……」
一度言葉を切り、京極くんは柳司くんへと目を向ける。
柳司くんはやっぱり昨日は徹夜をしていたみたいで、少しうとうとしながら本を読んでいた。
これだけ注目を集めても全然気にしていないのもその為だろう。
「葉桜君には何か心当たりがあるのではないか?」
「……うん、一応はね」
柳司くんが部屋の中で何をしているのか、九鬼の一室を借りて何をしているのか、私は知っていた。
だから徹夜の事については、柳司くんがそれに集中していたからなんだってわかってる。
そして徹夜とか関係なしに柳司くんの様子がおかしい事。それにはもしかすると、義経ちゃん達の歓迎会があった夜、私が聞いた事が関係しているのかもしれなかった。
「いずれにせよ、私には手の出せない問題だ。君が良い答えを出せる事を願っている」
「ありがとう、京極くん」
「私も君達の友人として、
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