第8話
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「なんでもない。さぁ、作業を再開しよう。時間ギリギリまでは手伝いたいからな」
「うん!」
そして翌日。
準備は完了し、授業も終え、放課後になって歓迎会が無事開かれるという段階でトラブルが発生した。
主賓である義経、弁慶、与一の三人全員の姿が見えないのだ。
「まさか、また……?」
「与一くん、かな?」
「たぶんな……あいつめ」
大方、人前に出るのが恥ずかしいから嫌だとかそんな理由で出席を渋っているのだろう。
義経と弁慶はそれを連れ戻そうと思って遅れていると。おそらくはそんな感じだろう。
もう歓迎会の開始予定時間まで10分だ。果たして間に合うのかどうか……
と、そこで直江大和が携帯片手に外へと走って行くのが見えた。なにか連絡でもきたのだろうか。しかし連絡があったにしても相手は与一だ。
「……不安だな」
「心配する必要はないぞ。柳司先輩」
いつの間にか近くに来ていたクリスが話しかけてきた。
つい先ほどまでざわめく生徒達を良く通る声で抑えていたが、もう大丈夫なのだろうか。
「ああ見えて大和は頼りになるんだ」
「確かに良い指示が出せていたとは思うが……」
しかし与一は気難しい奴だ。それを説得して連れて来るのは至難の業だぞ。
いざとなれば俺がなんとかするつもりではあるが。
「柳司先輩は心配せずに待っていてくれ」
「とりあえず、正式な開始時間までは大人しくしている。その後は首を突っ込むがな」
……そう思っていたのだが、俺の直江に対する評価はかなり低すぎたらしい。
直江は見事に与一を連れて会場へと戻ってきた。しかも与一の方も嫌々というわけではないようなので、ちゃんと説得して連れてきたらしい。
「ほら、心配する必要はなかっただろ?」
「……みたいだな」
しかし、一体全体どんな方法で説得したのだろうか。
今度時間があれば聞いてみよう。何かの役に立つかもしれない。
そうして無事始まった歓迎会は素晴らしいものになった。
食事も美味しく、俺や清楚と触れ合う機会の少ない一、二年が多く参加している為か、喋りかけられることも多い。
本当に素晴らしい歓迎会だ。
「だから、紋白にも感謝する。俺たちの事を随分と考えてくれてありがとう」
偶然見つけた九鬼紋白に、俺はそう言って頭を下げた。
いつから企画していたのかは知らないが、彼女自身も俺たちと一緒に転入してきたのだから、時間も無かっただろう。
それ相応の苦労をしたに違いなかった。
「そんなに頭を下げぬとも良いぞ、柳司。我は当然の事をしただけだ」
「……だが一応、俺達は紋様の先輩に当たる。筋は通したい」
「うむ、わかった。そう
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