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真剣で覇王に恋しなさい!
第8話
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川神百代も姿が見えなかったから無駄な心配だったわけだが。




 放課後、俺と清楚と京極はC棟にある多目的室へと向かっていた。
 俺はついさっき知ったのだが、どうも知らない間に義経たちの歓迎会の準備が進んでいるらしい。
 京極も歓迎会の手伝いに呼ばれた一人で、歓迎会で飾る字を書くのだとか。
 そこで俺と清楚は、歓迎会の準備にはまだまだ人手がいると聞いて手伝いに行く事にしたのだ。

「力仕事なら俺がやるから清楚は来なくてもいいんだぞ」

「私だって手伝いたいの。素敵な歓迎会にしてあげたいもの」

 そんな台詞を笑顔で言われてしまったら、本当は任せてほしい俺でも何も言えない。
 幸い清楚はどうした理由か力持ちだ。大丈夫だろう。
 そうして辿り付いた多目的室は、相当に忙しそうな様子だった。どうやら人数が欲しいというのも本当のようだ。

「これは結構時間がかかりそうだな」

「うん。がんばらないとね!」

 そうして俺達はテキパキと指示を出している直江大和に従い、歓迎会の準備を手伝い始めた。
 重そうな壷を持ち上げた清楚にびっくりしている奴らもいたが、何か勝手に納得したようだ。
 少し気になったのは義経の事だ。チラチラと入り口の方からこっちを気にしていたようだが、話しかけようとしたらどこかに走り去ってしまった。

「案外楽しいな。歓迎会を準備するってのは」

「皆と一緒だから楽しく働けるものね」

「あぁ。お祭り好きだっていうここの学園の生徒の気持ちが少しわかったような気がするよ」

 楽しく会場設営に励む事一時間。
 皆の努力が身を結んだのか、会場はかなり形になってきた。
 一段落ついたところで、俺は忙しそうに携帯電話を弄くっている直江の元へと向かった。

「柳司先輩、何かありましたか?」

「いや、この歓迎会の事で礼を言いに来たんだ……ありがとう」

「手伝ってもらってるのはこっちなんですし、頭を下げないでくださいよ。それに、俺だって好きでやってる事なんで」

「そうか……とにかくだ。礼は言った。何か助けになれる事があれば力になるから、いつでも言ってくれ」

 何処か恐縮しているような感じの直江に礼を言って、俺はすぐにその場を離れた。まだ準備は残っていて忙しそうだし、それの邪魔をするのも悪いだろう。
 俺にとっては手伝う事自体が貴重な体験だから、本当に感謝しているのだが……やはり悪人顔をしているせいだろうか。

「うーむ……」

「どうしたの? 柳司くん」

「いや、後輩と仲良く接する方法について悩んでいた」

「え?」

 あまりにも唐突過ぎたせいで、清楚にきょとんとした顔を浮かべられてしまった。
 俺はすぐに手を振って多目的室の方へ足を向ける。

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