第6話
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し、心を制す。
俺が習った不倒不屈の戦闘スタイルの心得はそれだけだ。
「痛くはあったが、これで終わりだ」
既にクリスの顔に手が届く位置だが、直接殴る事はしない。
そういう事をしないようにと、昔に散々教え込まれた。だいたい、そんな事をしたら嫌われ者になるのは間違いない。清楚にまで嫌われるのはごめんだ。
だから俺は右手でレイピアの刀身を掴んだまま、左手を使ってクリスから無理矢理レイピアを奪い取った。
「まだ……まだっ!」
それでも諦めないクリスが、軽くジャンプして俺の頭部へ向かって蹴りを繰り出した。
かなり鋭く、速く、威力も高い攻撃だったが、俺は普段手加減されているとはいえヒュームさんの蹴りを受けているのだ。
この攻撃には、鋭さも力強さも気品も優雅さも速さも足りない。
俺はその蹴りを、首に力をいれて頭部を固定する事で受けた。それによって蹴りを弾かれたクリスが驚愕している間に、そのスラリとした足を右手で掴んだ。
そして俺はクリスに対して、グラウンドに背中から落ちるように優しく投げを決めた。
本来なら思い切り叩き付ける所だが……力試しで、何よりも女性にそんな事をするわけにはいかない。
「さぁどうだ。まだやるか?」
「……自分の、完敗だ」
仰向けに転がるクリスの傍でそう聞くと、彼女は少し悔しそうに、それでも笑顔で負けを認めた。
まだ動ける体力はあるみたいだが、武器を取られては戦えないだろう。
そしてそれを聞いたルーが決闘の決着を宣言する。
「決着ーッ! 勝者は赤戸柳司!」
途端に、いつの間にか増えていた観客から歓声が沸いた。
それを浴びながら、俺はクリスに手を貸して助け起こした。
「気遣いまでされてしまうなんてな」
「いや、これくらいは当然だろ」
「最後に投げられた時もだ……やっぱり先輩は騎士に向いていると自分は思うぞ」
「さすがにそれはどうかと思うが」
まさか守備が高いから騎士とか言わないよな、ゲームじゃあるまいし。
昔与一とやったゲームにそんな役割の騎士がいた気がするが、思い出せない。
「いつかまた挑戦する。その時はまたよろしく、先輩!」
「あぁ。その時はお手柔らかに頼むよ」
俺はクリスと握手しながら、また戦う約束を取り付けてしまった。
今日は実力をちゃんと発揮できていなかったからなんとかなったが、次回はそれが修正されている事を思うとかなりキツそうだ。
百代の事もあるし、俺ももっと修行をつけないとな。
「自分は犬がいる第1グラウンドに戻るつもりだが……」
「俺はそろそろ帰る時間だ。清楚と待ち合わせをしている」
「そうか、じゃあまた今度!」
すぐさま散って義経を見に行った観
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