第5話
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言われても煽てられてるようにしか感じないんだが、きっと本気なんだろう。義経はそういう事は絶対にしない奴だ。
だが、期待に込めた眼差しをされても俺は決闘をするつもりはない……はずだったのだが。
周りから、何故か熱い視線が注がれていた。
「一体何だ?」
俺は一時的に困惑したが、よく考えればわかる事だ。
ここは武士の血を継ぐものたちが住まう川神。ここの生徒たちもそうなのか、義経の事を聞けば腕試しをせずにはいられない連中が大勢いた。
そしてその血気盛んな生徒たちが、義経が直接に強いと評する奴を見ればどう思うだろうか?
結果、向けられたのが期待の眼差しである。
「……嫌な予感は、しなかったと思ったんだがな」
「どうしたんだ?」
「いや、なんでもないさ。ほら、義経は次の生徒の相手をしてくるといい」
「うん、わかった。それじゃあまた後で!」
俺の言葉に素直に頷いた義経は、跳ねるような足取りで決闘の場へと戻っていった。
しかし俺に対する視線は、減りはしたものの未だに結構残っている。
……どうあがいても決闘、なのか。これは。
「すまない、ちょっといいだろうか?」
その時、凛とした声で背後から声をかけられ、俺はそちらを振り向いた。
するとそこには、昨日2−Sの教室で見た金髪の少女がいた。
確か名前は、クリスティアーネ・フリードリヒだったか。
「クリスティアーネだったか、昨日ぶりだな」
「自分の事はクリスと。それより、自分と決闘してくれないか」
そう言って、クリスは自分のワッペンを俺に差し出してきた。
そういえば決闘はそういう前置きみたいなものがあるんだったか。
「なぜ俺に?」
「自分は義経と決闘する予定だったんだが、連戦を続けている義経にはかなり疲労が溜まっているはずだ」
「あぁ、確かにそうだな」
「だから、フェアな戦いをするために義経との戦いはまた今度にするつもりなんだ」
「いい心掛けだ」
「そこで柳司先輩が戦う相手を探していたようだから、ちょうどいい機会だと思ったんだ」
「ちょっと待て、確かに暇とは言ったがそこまで言ったか!?」
もう先輩呼びはともかく、まるで意味がわからんぞ。
というか別に相手を探しにきたわけでもないぞ。俺は義経を見ようと思ってきただけだ。
「駄目、だろうか……」
「いや、別に禁止されているわけではないから駄目というわけではないが」
「本当か!?」
駄目じゃないとは言っても承諾したとはまだ言ってないが。
「……まぁ、いいか」
どうせ、ここにいる以上はいつか自分の強さを証明しなければならなかったのだ。
いつまでも戦わなければ強さを疑われるし、そ
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